めざせ! ナースコールの鳴らない病棟
看護師に必要とされる観察する力
病気のなりはじめや症状が急激に現れる急性期の患者に対して、看護師は医師の指示に従ってすみやかに治療の補助を行うだけではなく、入院中の生活を支えるという重要な役割を担っています。患者はどのような苦しみを抱えているのか、どのように入院生活を過ごしたいと考えているのかをしっかり把握することは、適切な看護の第一歩です。そのためには患者をしっかり観察することが必要です。今困っていることは何か、また治療の経過に伴う変化にも気づけるように、患者の生活を支えるという視点に立った観察力が求められます。
ナースコールを予測して動く
患者のヘルプサインを予測して、先回りしてケアすることも看護師には求められています。例えば、点滴は体内に水分を入れるため尿意を覚えることが多く、点滴を外したり交換したりするタイミングでトイレに誘導するなどの声がけを行います。点滴の中に抗生剤が入っていれば発熱や炎症反応を予測できて、患者に頼まれる前に氷を持っていくことができます。小さな気づきをケアに結びつけて実践する「先回りの看護」が、ナースコールを減らすことになり、患者に安心感をもたらすことにもなるのです。また、状況に即して適切な行動を遂行することは、「私ならできる!」という自信になり、看護師自身の「セルフエフィカシー(自己効力感)」を高めることにもつながります。
看護師はチーム医療に不可欠な存在
看護師は国家資格を有する専門職です。勉学に励み、病院など現場での実習を重ねて、国家試験に合格してようやく得られる職業ですが、近年は早期に離職するケースが増えています。チーム医療を大前提とする病棟において、幅広い業務を担う看護師はキーパーソンと言える存在です。チームの一員として目的と情報を共有するだけではなく、チームの中で自分を確立していくことも重要です。セルフエフィカシーが向上して仕事に対する満足感が得られれば、辞める人は少なくなり、ナースコールも鳴らなくなるはずです。
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先生情報 / 大学情報
東京医療学院大学 保健医療学部 看護学科 教授 塚原 節子 先生
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