日本のメロンは、なぜあんなに甘いのか?
甘くておいしい日本のメロン
甘くさわやかな果肉とたっぷりの果汁で、メロンは昔も今も大人気の果物です。日本では、まんまるの形状で、皮の表面に網目模様の入るマスクメロンがポピュラーで、海外で栽培されているメロンと比べても、とりわけ糖度が高いことで知られています。以前は贈答用の高級品というイメージが強かったのですが、品種改良と農業技術の進歩により、今は比較的手軽な価格で手に入るメロンも増えています。
何がメロンを甘くしたのか?
マスクメロンが日本で栽培されるようになったのは明治時代以降のことで、それほど昔のことではありません。一方、その伝来よりもはるか前となる弥生時代の頃から、日本にはマクワウリやシロウリといった在来種のメロンが存在していて、食用にされていたことがわかっています。
マクワウリはお盆の時のお供え物に、シロウリは奈良漬けの材料に使われていますが、いずれも果肉はそれほど甘くはありません。ところが、マクワウリの遺伝子を分析してみると、糖度に関わる複数の遺伝子のうちの1つが、現在のマスクメロンと共通していることが明らかになりました。これは、日本にマスクメロンが伝来した後に、一部の地域でマクワウリとの交配が起こったことによって、より甘いメロンへと変化していったことを示唆しています。
遺伝子の配列で特性を見いだす
農作物の品種改良を行う際には、味だけでなく、実の形状や大きさ、病気への耐性など、さまざまな特性を考慮する必要があります。従来の手法では、それらの特性を見極める際に相当な手間と時間が必要でした。しかし最近では、苗の段階でそれらの葉を採取して必要な特性をもたらす遺伝子の配列を見いだすことで、より素質のある品種をいち早く見つけ出すことが可能になりました。こうした特性や品質に関わる遺伝子を選び出す際の指標を「DNAマーカー」と呼び、よりよい育種をめざすための手段として、日々研究が続けられています。
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