不登校は病気のせいかも 困っている人を全面支援する社会福祉士
10人に1人が発症
あなたがこれまで通った小中学校、あるいは高校に不登校の子がいるとしたら、その子は「起立性調節障害」という病気かもしれません。この病気は、自律神経の働きが悪くなり、朝起きられない、食欲不振、倦怠(けんたい)感といった症状が起こります。子どもたちの10人に1人ほどの割合で発症すると言われ、増加傾向にあります。
朝、登校前に腹痛や頭痛を訴えて学校に行けないケースが多いので、知らない人は「怠けている、気のせいだ」と言うこともあります。本人はそれがつらく、病気である自覚もありません。家族も困り、悩むことが多いのです。
生きやすい環境づくり
そうした困りごとを抱える人たちを支援して生きやすい環境を整えるのが、ソーシャルワーカーや社会福祉士です。医療機関や学校、保護者などと連携して、どうすればいいのか検討します。
本人には症状を少しでも改善できるように、朝の起き上がり方や水分補給といった実践的なサポートをします。原因は心的ストレスと言われているので、学校や家庭から様子を聞いて環境や食生活などを見直したりします。重症度が高いと、人と接することに抵抗感がある子もいます。その場合は様子を見ながら同じ部屋でゲームなどをして過ごすと、見守る人がいることで安心感を得る子もいます。
症状や状態、家庭や学校の環境は一人一人異なります。個々にあった支援をして、安心して過ごせる場所を得てもらうことが大切です。
周知し、理解を進める
起立性調節障害は、まだまだ理解が広がっていません。治療すれば2年ほどで90%の人が完治するとされていますが、診断できる医師も少ないのです。
まずは、医療や学校、保護者に起立性調節障害について周知することが急務です。そして、治療や回復のプロセスで、どのような支援が適切なのかを明らかにすることも必要です。このように、ソーシャルワーカーや社会福祉士はあらゆる事例において、各機関と連携しながら誰もが生きやすい環境をつくることをめざしています。
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先生情報 / 大学情報
帝京科学大学 医療科学部 医療福祉学科 准教授 中里 哲也 先生
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