音は色で表現できる! 周囲の音を可視化する技術
生活の中で聞こえる音
日常生活にはさまざまな音が存在しています。こうした音全般は「音環境」と呼ばれており、分析のための技術開発が行われています。音環境を理解できれば、その場所の雰囲気や、より心地よい音環境を作る方法が考えられます。課題の一つがプライバシーの保護です。音環境には人の会話も含まれているため、分析結果から個人情報が漏れるのではないかとの不安から、実験許可がなかなか下りません。そこで別のアプローチから音環境を探る手法として、「音模様」という技術が開発されました。音の発生源や特徴のみに注目して、音環境を「色」で可視化します。
音環境を色で表す
音模様ではマイクロフォンアレイというセンサで採集した音データを、デジタル上で色を表現するときに使うRGB値に置き換えます。R(赤)には音の大きさ、G(緑)には周波数、B(青)には同じような音が続いていることを示す単一性が割り当てられました。これらの特徴ごとに収集したデータをRGB値に変換すると、さまざまな色が出てきます。例えばお経のような、起伏の少ない音が長く続いているときは青に近い色で表現されました。
音模様ではRGBに割り当てた特徴のみを分析するため、会話の内容には踏み込みません。そのためショッピングモールや商店街など、プライバシー保護の観点からハードルが高かった施設でも実験許可が下りやすいのです。
音から推測する「場の雰囲気」
音模様からは、赤に近い色のときは会話音の大きさが目立つなど、音が鳴っていたときの「場の雰囲気」も推測可能と考えられています。さらにマイクロフォンアレイを設置するスペースを細かく区切り、各マスを音模様で色分けすれば、細かな場の雰囲気がわかります。
音模様が実用化されれば、イベント会場の盛り上がりを評価したり、授業や会議などの状況を分析して双方向のやりとりを活発にするための方法を考えたりと、幅広い場面で役立つと期待されています。音の内容をより正確に反映した色作りをするための研究が継続中です。
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