無痛分娩と助産師の役割の重要性
日本の無痛分娩の状況
看護の中でも、出産に関する専門知識と国家資格をもつ女性を「助産師」と呼びます。
助産師は自然分娩(ぶんべん)をベースに学習し、「助産院の開業権」を得る特殊な仕事です。ここ10年ほどで麻酔を使って痛みを最小限に抑える無痛分娩を行う産科も増えてきました。海外と比較すると日本では、出産の痛みを感じることで母性愛が深まるという考え方が根強く、無痛分娩が避けられてきました。しかし、現在は痛みを和らげ痛みに対する恐怖や不安を軽減し、精神的に安定した状態で出産できるというメリットが一般的に知られてきています。近年、無痛分娩の割合は8.6%(2020年度調査)程度で外国より低い状況ですが、日本だけでみると増加傾向にあります。
日本の無痛分娩ってどうなの
全国の無痛分娩施設と助産師教育の場で調査が行われ、無痛分娩の麻酔は無痛分娩の技術がある産科医や産科麻酔医が担当していることがわかりました。日本では産科麻酔医が少ないため、大学病院などで産科麻酔医が担当し、それ以外では産科医が麻酔を兼任している状況でした。また、無痛分娩を選択する理由は産婦さんの希望であることが多いことがわかりました。この結果から助産師は産婦さんや胎児に寄り添って、麻酔のリスクを観察しながら、安全・安心な無痛分娩ができる技術や知識の共有が求められます。
助産師教育の充実に向けて
無痛分娩では、まず、安全な出産へのサポートをすることが助産師の役割で最も重要です。麻酔で痛みを和らげると同時に下半身の感覚も鈍くなります。例えば、尿意を感じない場合は排泄を介助するなど、自然分娩とは異なるケアが必要です。助産師は母体と赤ちゃん両方の命を守るため、自然分娩や無痛分娩の利点と欠点を理解し、安全・安心な無痛分娩ができるように、助産師の教育も充実させる必要があります。今後、産婦さんのニーズに対応し安全・安心な無痛分娩を提供するためにも、助産師の教育は重要なのです。
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