筋力測定方法を確立をして、現場の理学療法士と対象者を支える
筋力測定の機器がない?
理学療法士は、運動療法などによるリハビリの専門家のひとつです。病気やけがで体に障害のある人に対して、立つ、座る、歩くといった動作の回復や維持をめざします。筋力の状態を把握してリハビリのプランを考えますが、その効果を判定するためには腕や足などの筋力の測定は不可欠です。握力や背筋力は専用の機器を使用して測定しますが、ほかの部位は計測の難しさから測定器がなく、実は理学療法士の手で測定しています。
すべての部位が機器で測れるようになれば、データに基づいた評価を得ることができて、よりリハビリがしやすくなるでしょう。近年、ひざの曲げ伸ばしをする太ももの筋力の測定法が確立しました。現在は、そのほかの部位についても研究が進められています。
理学療法には心理学(応用行動分析学)が有用!
例えば、脳卒中では、半身の麻痺に加え、ことばの理解や表出が困難となる失語症やすぐに気が散ってしまう注意障害など、運動や動作の練習などのリハビリの妨げとなる障害が生じることがあります。このような場合に有効な手段のひとつとして、応用行動分析学があります。これは行動や学習に注目した心理学であり、発達障害の人を対象とした支援法として世界的に用いられており、人の行動や学習の原理に基づいて「適切な行動」を増やす手法です。人はいいことやご褒美があると「またやろう」と自然に思えます。リハビリの後に「よいこと」が起きるように仕掛けるのです。
患者の立場で自然なサポートを
例えばご褒美としてコーヒーを飲む、たくさん褒められる、小さな目標を設定してクリアするなど、患者にあわせた内容を考えます。また、リハビリの効果が実感できれば、もっと頑張ろうと思えます。患者が効果を実感できるように、簡単にわかりやすく伝える力も必要です。
理学療法の現場を知り、改善していく取り組みは、患者のその後の生活にもつながります。一人一人の患者の視点に立ち、自然にリハビリできるようサポートしていくことが大切なのです。
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SBC東京医療大学 健康科学部 理学療法学科 教授 加藤 宗規 先生
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