科学的な裏付けのある、未来へ向けた保健体育の授業と教師
保健体育という教科は生涯の健康に結びつく
中学・高校の保健体育の教師は、運動やスポーツが得意ならば授業ができると思われているかもしれません。しかし、この教科には、今だけでなく、将来を見すえた目標があります。生涯を通して心身の健康を保持・増進し、豊かなスポーツライフを送っていくための力を養うというもので、いわば未来へ向けた教科です。近年は、「わかる・できる」だけでなく、「考える」「関わる」という思考面や態度面の育成が重視されるようになり、課題解決や協働、公正、安全、主体性など、さまざまなポイントがあります。
教師が授業で使いこなす専門的スキル
教師は教科の知識だけでなく、内容や相手に応じた教え方を有し、加えて子どもをよく知っています。授業という「営み」では、これらの知識やスキルを統合させて発揮しています。例えば、体育でボールをうまく投げられない子に対して、投げるポイントを口で説明する方法、教師が見本を見せる、動画を見せる教え方、あるいは紙飛行機を使って感覚をとらえさせる教師もいるでしょう。子どもたち同士で解決できると判断することもあります。「人を見る」というスキルで子どもの実態を観察して、瞬時に教え方を選択する高度な営みをしているのです。
皆で一緒に体を動かすことは、子どもの精神的成長にも大きな影響があります。それぞれの体格や性格、性別の違いを排除せず巻き込みながら授業をすることで、協調性や協働性が身につき、学力にも良い影響が出るという研究結果もあるのです。
大学で学ぶのは多様な分野の専門性
大学では保健体育の授業に関する理論的側面を学びますが、教育実習や模擬授業での実践とそれを振り返る省察も重要です。座学には教師になるための必須科目だけでなく、保健では医学や栄養学、公衆衛生学など、体育では体育心理学やバイオメカニクス、運動生理学、コーチングといった学問も含まれています。保健体育の教師には科学的根拠に基づいた専門性があり、積極的に学びを深めることで専門性の基礎がつくられるのです。
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先生情報 / 大学情報
名桜大学 人間健康学部 スポーツ健康学科 准教授 濱本 想子 先生
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