工場の具合をどう診断して処方する? データを活用するシステム制御
無数にある生産現場の制御装置
私たちの身の回りにあるものの多くは、工場で生産されています。工場内の生産プロセスでは、原材料を反応させたり、加工したり、組み立てたり、数多くの工程を経て、一つの製品が生み出されていきます。
一般的な工場の生産ラインには、途中にたくさんの制御装置があり、温度や圧力など、さまざまな変数が望ましい状態に保たれるように自動的に制御されています。製品の品質やコスト管理、そして工場の安全の確保のためには、これらの制御装置を適切に機能しているかどうかを効率よく診断し、不具合があればそれを改善する処方を与える必要があります。
データの振れ具合に点数をつける
工場が稼働している間、生産プロセスの各制御装置では、常にたくさんのデータを取得しています。それらのデータはいろいろな要因で細かく変動しているため、制御装置が正常に動作しているかどうか判断しなければなりません。ただし、大きな工場の生産プロセスでは膨大な数の制御装置があるため、それらをすべてチェックし続けるのに手が回らなくなってしまう場合も考えられます。そこで、制御装置から得られたデータを、「この程度なら問題ない」「この程度になったら調整する」と振れ具合に点数をつけて抽出していき、調整が必要な制御装置だけを取り出し、その制御装置だけを調整することを行います。このようにすることで制御装置の管理や調整が効率的になり、より安全で品質の良い製造プロセスを実現することができます。
現実世界と仮想空間を見通すデータ
こうしたシステム制御の場面で得られるデータとは、製造機器など「現実世界」で動いているものと、コンピュータ上の「仮想空間」にあるシステムとの中間にある、両者を見通せる存在であるとも言えます。このような多様な役割と情報量を持つデータを有効に活用していくことが、これからのシステム制御工学に求められている役割と言えます。
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