住民にとって大切な「地域」の在り方を考える地域社会学
人口減少社会における地域課題とは?
人口減少が急速に進む日本において、「地域社会の維持」が課題となっています。「地域社会の維持」において大切なことは、地域に住む人々にとって、地域課題が何であり、その解決のために持続的な取り組みをいかにして維持していくか、という事です。農村では、過疎高齢化によって、都市では多様な住民の生活によって、課題解決の合意形成の難しさがあります。このような中、政府は、自治体より狭く、そして、町内会や自治会より広い範囲である小学校区をモデルに地域運営に取り組む「地域運営組織」の形成を提案しています。平成の合併により広くなった自治体と、人口減少により活力がなくなった町内会・自治会の間に、地域社会の持続性を保つための取り組みをする組織を置くことは有効的に見える一方で、課題も指摘されています。
住民にとって「自分たちの地域だ」と思う枠組み
その課題の1つとして、住民たちが「自分たちの地域だ」と思う枠組みと、行政が提案する枠組みのズレによるものがあります。行政が関与して地域運営組織の形成を進めていく中で聞かれる話として、「自分たちの町内会ではできているのに、なんで地域運営組織でやらないといけないんだ」という意見です。お祭りであったり、共同作業の在り方は長い歴史の中で培われてきたものです。それらすべてを地域運営組織の枠組みでやるという事ではないのですが、そのように住民が「思ってしまう」状況に問題があります。地域運営組織の構成団体である町内会や各種団体、そして住民たちがどのようなことを、どの枠組みで取り組もうとしているのか、そしてそれがどのような点で難しいのかという事を丁寧に話し合うことが大切です。
地域社会学は地域づくりにどう役立つ?
地域づくりを実践するのはあくまで住民たちです。地域社会学では地域に住む住民が大切にしていることは何か、それをどのように地域社会に投影していけばよいかという点に重きを置きながら、地域づくりの視点を提供します。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。