「子どもの福祉」を守るためには、どんな対策が必要?
「子どもの福祉問題」のイメージを疑う
子どもの福祉に関する問題は、児童虐待、いじめ、ヤングケアラーなど、さまざまなものがあります。新聞やテレビ、Webメディアは、センセーショナルな見出しで子どもの置かれている環境の悪化を伝えます。しかし、実際に世の中で起こっている子どもの問題がすべて、報道されているような事例と同じであるとは限りません。社会で一般的に言われていることが、本当かどうか、学問ではまず「常識を疑う」視点が必要です。
子ども福祉問題分析に「社会福祉学」が役立つ
児童虐待などの子どもに関する深刻な社会問題は、早急の解決が求められます。そのため、十分な分析がされずに対策が打たれることも多くあります。しかし、それではいつまで経っても問題は解決できません。社会問題を正しく理解するためには次のような学問的方法が役立ちます。
まず最初に、事例(データ)をたくさん集めます。児童虐待やヤングケアラーなどの問題を理解するためには1つ、2つの事例だけでは不十分です。少なくとも数百から数千の事例を収集する必要があります。 そして、集めた事例を分析し問題の原因を特定します。 その問題は誰がどのような動機で起こしたのか? 親や子どもの状況はどうだったのか? 社会的背景は何か? 事例をさまざまな角度から分析し、パターンを掴みます。
「子どもの福祉」の向上を目指して
多くの事例を分析し、問題発生の原因が特定できれば、解決策は自ずと見えてきます。家庭の経済的困窮が大きな問題であれば経済的支援、障害がある子どもの養育に親が悩んでいれば障害福祉による支援など、状況に応じた的確な対策を講じればよいのです。子どもの福祉だけでなく、社会問題を解決するには、適切な方法による事例分析が有効です。社会福祉学は、その成果を、福祉関係職員の研修や国の政策立案に提供することで、子どもの福祉の増進に貢献できるのです。
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先生情報 / 大学情報
広島文教大学 人間科学部 人間福祉学科 准教授 清水 克之 先生
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