英語と日本語を比べてみると、共通点も見えてくる
日本語と英語には共通点もある
私たち日本語母語話者が英語を学習する際には、日本語と英語の多くの違いに気づきます。多くの日本人が英語を難しいと感じるのは、音や語順が日本語とは異なることが大きな要因です。しかし、実は日本語と英語には、共通点も意外にたくさん存在しています。例えば、日本語と英語どちらでも、名詞、動詞、形容詞、副詞、前置詞のような要素が存在し、それらの組み合わせによって文が作られています。また、どちらの言語においても、1種類の単語の並びが複数の意味を持つ場合があります。このように考えると、日本語と英語は全てにおいて異なるわけではないのです。
言語の構造を研究する「統語論」
言語学は、世界の言語の特徴や性質を科学的に研究します。言語には、音や意味、形態、歴史、使用など、多様な側面があります。その中でも、文の構造を研究する分野を「統語論」と呼びます。統語論では、人間が話す言語に共通する普遍的な法則と、例えば英語やスペイン語、中国語といった、それぞれの言語に固有の法則を、それぞれの言語の詳細な観察に基づいて明らかにしようとします。人間のみが有するとされる言語を研究することで、言語を使う人間の本質に迫ることが期待されます。
外国語学習には日本語も大事
英語に限らず、外国語を学ぶ際には、母語である日本語との違いを理解することも大切です。学習する言語と日本語が構造的にどのように似ていて、どのように異なるのかを理解することで、その言語の特徴をより理解できるようになります。例えば、英語の the book that John bought に対応する日本語は「ジョンが買った本」ですが、英語では関係代名詞節である that John bought が the book の右側に現れ、対応する日本語では、「ジョンが買った」が「本」の左側に現れます。英語は日本語と「鏡像関係」にあるのです。このような日本語との構造的な違いを意識することで、英語の特性をより深く理解できるのではないでしょうか。
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先生情報 / 大学情報
東北福祉大学 教育学部 教育学科 中等教育専攻 准教授 髙橋 久子 先生
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