精神疾患のある人が地域で暮らせるよう、共に歩む精神保健福祉士
困難を抱えて生きる人に寄り添って
さまざまな困難を抱え、社会で暮らしていくことが難しい人たちがいます。そうした人を支えるのがソーシャルワーカーです。ソーシャルワーカーの国家資格には、さまざまな理由により日常生活に困難を抱えている人を支える「社会福祉士」と、精神障がい者や精神的な問題を抱える人の支援を専門に行う「精神保健福祉士」の2種類があります。精神保健福祉士のケアの対象は、統合失調症やうつ、アルコール依存やゲーム依存、ひきこもりなど、誰でもかかる可能性のあるものが多く、100近くもの病名が数えられます。精神保健福祉士は、福祉施設や病院だけでなく、企業の保健室や行政機関などでも活躍の場を広げています。
病気の自覚がない人と関係を作るところから
例えば、なんらかの依存症の人は「私は依存なんかしていない」と言いますし、妄想がある人も、本人にとっては妄想ではなく現実です。このようにそもそも病気の自覚がない人が多く、しかも社会との関係を閉ざす傾向があります。
精神保健福祉士は、そのような人に寄り添い、心を開いてもらうことからスタートします。最初は敬遠されることも多いのですが、少しずつ安心してもらい、相談が始まり、治療するよう働きかけていきます。いろいろなハードルを乗り越えながら回復に向かって共に歩んでいくのです。
地域での暮らしを支援する
日本では、精神疾患がある人は長期間入院する傾向が強く残っています。その傾向を改め、さまざまな制度や人、サービスをつなぎ、精神疾患のある人が地域で暮らすことを支援することは、精神保健福祉士の重要な役割です。また、困っている当事者に働きかけることと同じくらい大切なのは、周囲の人の理解を促すことです。周囲の人々が受け入れることで、困難を抱える人が共に社会で暮らしやすくなります。困っている人が住みやすい社会になれば、誰もがもっと住みやすくなることでしょう。
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先生情報 / 大学情報
桃山学院大学 社会学部 ソーシャルデザイン学科(福祉) 教授 辻井 誠人 先生
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