「ムーミン」から考える、多様性と男女格差
北欧の中性的なキャラクター「ムーミン」
「ムーミン」は、フィンランド生まれの人気のキャラクターですが、男の子か女の子かわかりくいと思いませんか? 実は作者のT・ヤンソンは性的少数者(LGBTQ)であることが知られており、ムーミンの世界には男女の区別がつかない中性的なキャラクターが多く登場します。フィンランドに限らず、北欧ではLGBTQなどの多様性を認めて、社会の男女差「ジェンダー」をなくす政策や教育が盛んに行われています。
午後2時05分の社会運動とは?
世界経済フォーラムが毎年発表する「ジェンダー・ギャップ指数」で、10年以上世界1位の男女平等の北欧アイスランドにも、かつて大きな男女差がありました。しかし、1975年10月24日に女性たちが賃金格差の是正を求めてある運動を起こしたのです。それは午後2時05分に、働く女性が一斉に仕事をやめるというものでした。自分たちの労働を男性の賃金に換算すると、午後2時05分までしか働かなくてもよいというメッセージを行動で訴えたのです。この運動は今も続けられており、2005年には2時08分、2010年には2時25分、2016年には2時38分となっています。つまり賃金格差が解消されるにつれて、女性たちが一斉に仕事を置いてデモに参加する時間が後ろに延びているのです。法律の制定だけで社会は長い間変わりませんでしたが、女性たちが主導するこの継続的な運動こそが賃金格差是正をもたらしたのです。
社会を変えるのは「人」「行動」
日本でも大正時代の1918年に、富山県の女性たちが中心となって運動を起こしました。戦争に伴う物価高騰、米価の値上げに反対する「米騒動」です。かつてフランスの哲学者J・P・サルトルは社会を変えていく主体は人であり、自分たちで行動を起こすことが大切であると述べています。男女の格差をなくすことも、多様な人たちが生きやすい社会をつくることも、若いあなたたちの発言と行動にかかっているのです。
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