映画をどうやって、どこまで広めていくかの手法

映画をどうやって、どこまで広めていくかの手法

メディアミックスはいつから始まった?

小説や漫画などを映画化したり、アニメ化したりとほかのメディアで展開していくことを「メディアミックス」と呼びます。現在では盛んに行われている手法ですが、実は、メディアミックスの言葉がない頃、戦前から戦後にかけてすでにそれはスタートしていました。先駆者と言えるのは人気作家であった菊池寛です。彼は、小説家であると同時に経営者でもありました。現在の文学雑誌『文藝春秋』の基礎となる会社を設立したり、映画会社の代表を務めたりと、多方面において活躍したのです。自分の小説を映画化することにも積極的で、それがメディアミックスの祖と言われる理由です。

映画を「撮る」「広める」「記録する」

メディアミックスの成功例の一つに、川端康成『伊豆の踊子』があります。この小説は6回にわたって映画化され、時代ごとの大スターが主役を演じました。作者の川端は、それによって国民的作家の名声を獲得して、最終的にはノーベル文学賞も受賞したのです。このように、映画が作られると「多くの人に見られる、広められる」という重要な役割を果たします。メディアミックスはその部分において、大きな貢献をしているのです。
さらに言うなら、映画を撮る際には、もっと基本的な知識も求められます。映画史についての理解や、文学的素養などはその代表です。これら知識は映画を製作する人だけでなく、「伝える」「広める」「記録する」人にも必要とされると考えられます。

映画製作に必要なこと

今後は映画の世界でも、生成AIなどの技術が取り入れられていくことは簡単に予測できます。しかし映画は、原作者や製作者などのアイデアが最も重要であるはずです。そのアイデアと大衆文化は切り離せないもので、その点に着目した研究も進められているのです。この種の研究はまだ盛んとは言えませんが、今のメディアミックスの多彩な活用を考えると、今後さらに研究範囲が広がっていく可能性があります。

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先生情報 / 大学情報

日本大学 芸術学部 映画学科 教授 志村 三代子 先生

日本大学 芸術学部 映画学科 教授 志村 三代子 先生

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映画学、日本文学、芸術実践論

メッセージ

映画が好きなら、「自分でも作品を撮ってみたい」と思うのは自然でしょう。ただ、映画に関わる上では、「作る」だけではなく「伝える」仕事も存在しています。自分の好きな映画をどのように多くの人々に知ってもらうか、あるいは記録として残していくか、それも映画を作ることと同じくらい重要だと言えます。そして、将来的に映画業界に身を置こうとしているなら、ぜひ映画史や大衆文化、PRの仕方などについても学んでおきましょう。それらは映画に関わるすべての人にとって、大きな財産になり得るからです。

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