いつまでも美味しく「食べる」ことができるシステムをつくろう

衰えは口から
年齢を重ねいつのまにか衰えててくる身体機能に、口腔(こうくう)機能があります。口腔機能が低下すると、思うように食べられなくなります。食べられない状態が続く(イートロス)と、身体の各機能が落ち、介護が必要になります。つまり介護の入り口が、お口の些細な衰え(オーラルフレイル)ということがわかってきました。
一方、口腔機能の低下以外にも、イートロスの原因はさまざまあります。例えば、買い物に行けず食材を確保できない、調理ができない、食欲が湧かない、消化吸収や排泄が上手くできない、片付けができないなども要因となります。
医療と企業の連携
こうしたイートロスの原因を解決するためは、医療界だけでは対応できません。よって、現在、医療と市民(住民)・市場(産業)・市政(行政)が連携する「医市連携(いしれんけい)」が始まっています。
例えば、口腔機能が低下すると飲み込みも悪くなり、誤嚥(ごえん)しやすくなります。そのような時にとろみを付けた飲食が必要です。しかし、適切なとろみを付けることは、ご高齢の方にとって簡単ではありません。そこで、医療従事者と飲料メーカーがタッグを組んで、とろみ付きのお茶を発売しました。このように医療界の課題を、企業と協力、連携することで解決できるようになってきました。
「食べる」を支えるシステムづくり
高齢者が自力で食材を確保できるインフラ整備や楽しく食事ができる環境づくりなど、社会システムづくりも行われています。
例えば、「食べる」ことに関わる「口腔ケア」に広く関心を持ってもらうため、「口腔ケアアンバサダー」という資格制度がスタートしました。これは一般の方でも受験できる医療系学会の認定制度であり、中高生の方も多く合格しています。高齢者が今後さらに増加していく中、健康で居続けるための正しい知識と情報を持ったサポーターを増やすことも大事なのです。
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日本大学歯学部 歯学科 教授米永 一理 先生
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