SNSで悩む友だちの数、古代ギリシアの哲学者はこう考えた
SNSで友だちが増えるのだけれど
SNSを始めると、友だちは多いほうが良い気がしてきます。しかし大勢の友だちとつながっても、実際に交流のある友だちは限られてくるものです。「本当の友だちといえるのか」「友だちは多ければ多いほど良いのか」と疑問を抱くことになるでしょう。
友だちについて悩むのは子どもや若者だけではありません。子育てが終わった後や仕事を定年退職した後の長い人生を前にして、友だちがいたらと悩む中高年も増えています。
古代ギリシアの哲学者アリストテレスも、著書の中で友だちは多いほうが良いのかと悩んでいます。そして「友だちが多いのはただの愛想良しである」という言葉を残しています。
問い続ける哲学
観念的に見える哲学の問いも、身近な疑問から出発しているものです。哲学者が2400年前の古代ギリシア時代から問い続けいまだに答えを見つけられていないのは、友情、幸福、人生の意味、死との向き合い方など、多くの人が思春期を迎える頃から考え始める問題です。身近な疑問をしつこく考えていくと、日頃なんとなく抱いていたイメージがいかに曖昧なものであったかに気づきます。
紀元前の哲学者が考えていたことを21世紀になっても考え続けているのですから、哲学というのは珍しくも面白い学問です。時代がどう変わっても哲学はなくならずに人々の関心を呼び続けています。
「良さ」について考える倫理学
「地球は丸い」というのは、今日では科学的に証明された事実です。「丸い」という性質が事実として地球には属しています。それに対して「友だちの数」は、多いほうが良いという考えもありますが、「親友」と呼ぶような限られた人と友情を深めることを良いとする考えもあります。友だちの数には「良い」という性質、価値は属していません。このように事実と価値を分けて、価値の方に注目し、「良い」という性質について議論するのが、哲学の一分野である「倫理学」です。最近では生と死の価値(尊厳)を考える「生命倫理学」が登場して、盛んに議論されています。
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先生情報 / 大学情報
國學院大學 文学部 哲学科 教授 藤野 寛 先生
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