世界平和を、グローバルな視点と多方面の学問から追求する
平和学は、2つの世界大戦の反省から生まれた
「平和学」は日本では聞きなれない学問分野ですが、欧米を中心に盛んに研究が進められています。紛争はなぜ起こるのか、未然に防ぐにはどうしたらよいのか、国際政治学や経済学、社会学、宗教学など、さまざまなアプローチで、「平和」を考える学問が平和学です。
その誕生のきっかけは、2つの世界大戦でした。19世紀から20世紀前半、欧米を中心に特に科学技術の分野で新たな発明・発見があり、人々は明るい進化した未来が続くことを思い描いていました。しかし、現実には悲惨な世界大戦が起こってしまい、人々の生活の基盤となる「平和」が崩れ去ってしまったのです。
戦争を正当化する論理はどのように作られるのか
国際紛争の原因は宗教対立と思われることもありますが、実はその背景には民族間の経済的な対立や国内の不満を外に向ける政治的な理由、歴史的な国民感情のねじれなど、一口では言えない多くの原因が存在します。
西欧の歴史を振り返ると、キリスト教徒たちが戦った多くの戦争があります。時のリーダーたちは、どのような論理で戦争を正当化し、人々を突き動かして激しい戦いに送り込んでいったのでしょうか? キリスト教には、平和というイメージがあるかもしれませんが、キリスト教の歴史を検証しながら、神の名のもとに行われてきた戦争を研究するのも、宗教学的アプローチによる平和研究の1つです。
平和学がほかの学問と異なる大きな特徴
戦争の原因の1つひとつを解き明かし、科学的に分析し、その知識を共有し合うことが、平和に至る大切な過程であることは間違いありません。平和学の最終的目的は、平和の構築と維持に寄与することです。その前提となるのは「平和は良いもの、守るもの、追求すべきもの」という認識です。どの立場からも距離を置き、中立を原則とするような多くの学問研究とは異なる点だと言えます。平和は、人類の壮大なテーマであると同時に、現代を生きる1人ひとりが考えるべき身近な問題なのです。
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先生情報 / 大学情報
仙台白百合女子大学 人間学部 グローバル・スタディーズ学科 教授 矢口 洋生 先生
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