高校で習う倫理社会と大学で学ぶ哲学の違い
これは何? が出発点
高校の「倫理」では、さまざまな思想家の考え方をざっと学びますが、これって「哲学」の勉強なのでは? いったい「倫理学」と「哲学」ってどう違うの? と思ったことがある人もいるでしょう。
少々乱暴に表現すれば「これは何だろう?」と思ったら、それはすべて哲学です。有名な哲学者・ソクラテスは、「無知の知」という言葉を残しました。現代人にも通じることですが、多くの人は、何事も知っているものとして深く考えることをしない傾向にあります。知らないということを自覚しよう、ここから哲学は始まったのです。
例えば、目の前の机を、誰もが机であるということは認識しますし、調べれば材質やメーカーなどはわかります。たいていそれで机についてわかった気になります。しかし、「なぜ机として存在しているのか」ということには、ほとんど誰も目を向けないでしょう。存在の意味について突き詰めて考えることは、ばかばかしく実生活に役立たないと思うかもしれませんが、あれこれ考えることで、自分とは違う考えを認める手助けになるはずです。
倫理学は生き方を問う学問
それに対して「倫理学」は、もう少し実践的です。人間と人間の関係性や、どう生きたらいいのかということを考える学問なのです。最近、真剣に向きあうべき例としては、「産む、育てる」といった生命倫理問題でしょうか。今までは本能に従って人は産まれてくるものだと認識されていましたが、人工授精や代理母などの登場で、改めて人が人を存在させるという行為について意識的に考えなければいけない時代になったのです。
今、日本はあらゆるものが簡略化されています。「Aの解決にはBが必要」と、効率重視の目的合理性が優先される社会なので、「BのほかにCも検討してDの解決策を見出そう」という柔軟で創造的な人間的合理性が切り捨てられがちなのです。倫理学は、人間的合理性を考える学問なので、社会の暴走を止め、社会に対して人間らしい新しい方向性を提案することが期待されます。
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静岡大学 情報学部 情報社会学科 教授 吉田 寛 先生
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