「ごちゃまぜ」の地域づくりが、豊かで幸せな暮らしにつながる
人と人とのつながりの場
日本は超高齢社会を迎えて孤立する高齢者が増加しています。地域福祉の分野では、高齢者や障害者、生活困窮者が地域で幸せに暮らし続けられる仕組みづくりについて研究が行われています。そして、人と人とのつながりの場を作ることがその解決のきっかけにつながることがわかってきており、「ごちゃまぜ」という言葉がキーワードになっています。
与えられた役割が生きがいに
福祉分野における「ごちゃまぜ」とは、子どもや高齢者、障害者などさまざまな人たちがつながることで、それぞれの役割が変わることを言います。例えば、高齢者施設に入所している人は介護サービス利用者と言われますが、その施設に子どもが遊びに来るようになれば、「施設に住む優しいおじいちゃん、おばあちゃん」という役割に変化します。また障害者がアート作品を作るようになれば、その人は「クリエイター」になります。このように、さまざまな人や分野がつながってコラボすることで与えられる「今までとは違う役割」が、その人の生きがいや豊かに暮らすための心の支えになることが期待されています。実際に最近では高齢者施設に駄菓子屋やカフェを併設するなど、「ごちゃまぜ」を取り入れた施設づくりが増えてきています。
地域づくりを多面的に考える
こうした「ごちゃまぜ」は地域づくりにも重要な要素です。北海道のある町で大学生のプロジェクトチームが行った調査があります。それによると、50年来その町に住む高齢者は地域のつながりを必要としていないことに対して、移住してきた若い世代はイベントなどを通して積極的に人と関わりたいと思っていました。そして世代間の交流はないまま、今は高齢者の孤立や「みとり」の問題が浮上してきています。
地域福祉を考える際、介護サービスや社会保障など制度や政策面だけではなく、性別や世代、個々が抱える問題をすべて含めて、人と人とがつながる「ごちゃまぜ」の場をたくさん作ることが、地域で幸せに暮らし続ける仕組みづくりへとつながります。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。