「心理カウンセリング」をデリバリーする?
増加するメンタル疾患
小中学生の不登校児童・生徒は全国で12万人にのぼります。そのきっかけとして多いのが、うつや不安などのメンタル疾患です。またアスペルガー症候群などの発達障がいも社会的な問題となっており、多くの日本人がメンタル不調を抱えている現状があります。
メンタル疾患の治療法として、臨床心理学の分野で最もスタンダードなのが、「認知行動療法」です。これは、ものごとの考え方や行動の仕方を分析して変えていくことで、症状を改善する方法です。
都市部に集中するメンタル疾患の専門病院
そのために必要なのがカウンセリングによるセラピー(心理療法)ですが、心療内科などがある病院は都市部に集中し、地方にはケアが行き届きません。そんな中で、力を入れられているのが、地方への「心理カウンセリングのデリバリー」です。遠方の患者さんにテレビ電話などの機能を使ってカウンセリングを行い、セラピーを行うものです。
これには、通常のカウンセリングとは異なる注意点があります。臨床心理学の専門知識のほかに、その地方特有の環境や地域性、経済状況、独特の文化や暮らしぶりなどその人のバックボーンをしっかりと把握して、個々の症状や考え方、行動などを分析し、解決方法を見つけていくことが必要になるのです。今までの心理療法は、病院に来てもらうところからスタートでしたが、地方の患者さんのところへデリバリーすることも必要な時代になっているのです。
予防の決め手は、「思考と行動」
メンタル疾患にいわゆるワクチンはありませんが、ストレス対処の知識やスキルはそれに代わります。困ったとき、悩んだとき、不安に感じたときに、どう考え、どう行動をすればよいのか、自分自身でそれを知ることが、メンタル疾患の予防につながります。ものごとの考え方と行動の仕方は、自分自身の力で変えることができる、いわば自分の武器でもあり、使いこなせば何かあったときにセルフヘルプできる要素です。そういった予防に関する知識も今後、広めていく必要があるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
北海道医療大学 心理科学部 臨床心理学科 教授 冨家 直明 先生
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