育ちを支える「アタッチメント」

アタッチメントは人間にそなわっている傾向
ヒトは体だけでなく、心の成長もまた、大人との関わりによって育ちます。アタッチメントは、そもそも人間が生まれ持った性質の一つで、大切な人にくっついて安心を得ることです。日本語では「愛着」と訳され、しばしば「愛情」と誤解されてきました。親に限らず、その子にとって特定のアタッチメント対象となる養育者が子どもに関心を持ってく見守ってくれる状況で、安定した「アタッチメント」が形成されます。幼少時のアタッチメントの安定性は、将来の対人関係に影響しますが、後に出会う大人との信頼関係によっても築くことができます。
社会で見守り育てる
親や養育者が子どもを育てることが難しい場合、施設での養育か、里親家庭に預ける、あるいは養子縁組(法律上親子になる)という選択肢があります。制度としては「社会的養護」という、家庭だけでなく、社会が代わりに子どもを育てていく考え方によるものです。なんらかの事情で親と一緒に暮らせない子どもは増えており、心理学の専門家によるケアが必要なケースも増えています。不適切な養育や不安定なアタッチメントを形成した乳幼児にとって、安定した家庭で育つ里親養育や養子縁組は発達において最も大きな変化をもたらすことをが知られています。
泣かない赤ちゃん、なぜ?
どんなに時代が変わっても、赤ちゃんは養育者に抱っこしてもらうなど、優しい身体接触により安全や安心を感じます。そのため赤ちゃんは自分が不安になると親も不安になる「泣き声」などのシグナルを頻繁に発します。しかし、空腹や恐怖など、ケアを求めて泣いても誰もそばに来ないことが長期間繰り返されると、泣かなくなり、笑顔も見せなくなります。しかし、発達や心理の専門家によるサポートなどを受けることで、子どもに寄り添った養育環境を提供することで、子どもが養育者を信頼し、安定したアタッチメントを形成していくようになります。
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