呼吸のリハビリテーションとは?
酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するのが呼吸
人間は、1日に20000回ほど呼吸をします。呼吸の仕組みは、酸素を取り込んで、二酸化炭素を排出することです。横に並んだ3つの歯車を思い浮かべてください。一番右の歯車が肺、2つめが心臓と血液、3つめが骨格筋です。まず、肺で息を吸うと、歯車は右に回り、空気に含まれた酸素が血液にわたされ次に心臓へ届きます。心臓はポンプの役割をして、酸素を全身に送ります。さらに歯車は右へ回り、3つめの歯車である骨格筋へ酸素が届きます。そして、骨格筋のミトコンドリアで酸素を消費し、エネルギーを産み出します。
また、エネルギーを作り出した副産物として、二酸化炭素が産生されます。二酸化炭素は、骨格筋、心臓、肺と逆の順序で運ばれて、体外へ排出されます。これが呼吸と循環の仕組みで、3つの歯車を「ワッサーマンの歯車」と呼びます。
呼吸が難しくなる病気
呼吸がしにくくなる病気がいろいろあります。ALS(筋萎縮性側索硬化症)は呼吸筋が侵され、息を吸えなくなります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、これは息を吸う力はほぼ残されていますが、血管がはりめぐらされている肺胞が損傷しており、息を吸っても酸素を血液へわたすことができません。
呼吸リハビリテーションの重要性
このように呼吸はとても重要です。最近では「呼吸リハビリテーション」が行われています。リハビリテーションというと、脳卒中や骨折の後などに行うイメージが強いのですが、呼吸のリハビリテーションは、呼吸器の病気を持たれている人や大きな手術の前後に呼吸の練習や運動を行うものです。主に理学療法士が担当し、医師や看護師、管理栄養士と協力して進めます。手術の前に痰(タン)を出す運動や呼吸をマスターしておくと、術後の経過がよくなるので、あらかじめ練習します。これからは、さらに呼吸のリハビリテーションの重要性が注目されます。
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