ことばの障害から認知症にアプローチする言語聴覚士
認知症によることば・コミュニケーションの障害
高齢化に伴い認知症の患者は増加しています。また、一口に認知症と言ってもアルツハイマー型認知症や、脳梗塞が原因で起きる血管性認知症などさまざまな種類があります。どういった種類の認知症であるかを判断するのは医師による診察や、CTやMRIの画像診断も必要ですが、言語聴覚士は認知症患者に特徴的なことばの障害(言語障害)や記憶障害によって引き起こされるコミュニケーション障害から認知症にアプローチします。
脳のどの部位が障害されているか
アルツハイマー型認知症は、初期の症状ではことばの障害は目立たず、もの忘れといった記憶障害が目立ちます。しかし血管性認知症では、初期からことばの障害が目立つことがあります。これは、血管性認知症の原因である脳梗塞でことばをつかさどる部位が障害されることがあるためです。一方、アルツハイマー型認知症は変性疾患と言って、記憶に関わる脳から徐々に脳全体が障害されていくため、記憶障害が最初に目立ちますが、特徴的なコミュニケーションの障害も実は潜んでいることがあります。
言語聴覚士は、医師をはじめとした多職種と協力しながら、ことばやコミュニケーション障害を手掛かりに、まだまだわからないことの多い認知症の解明に携わっています。
リハビリテーションで認知症の人を支える
言語聴覚士は言語聴覚療法を用いて認知症患者のコミュニケーションの支援も行います。認知症では、特に患者同士が集う集団リハビリテーションに効果があるとされています。そしてこれらのリハビリテーションは、薬による治療と併用することで認知症の進行を遅らせるというエビデンスもあります。
リハビリテーションは、その人の能力を最大限に引き出して、自信をもってもらう場です。そのためには認知症患者という「人」に興味をもち、その人に合ったさまざまなアプローチをしていくことが重要なのです。
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先生情報 / 大学情報
京都先端科学大学 健康医療学部 言語聴覚学科 教授 吉村 貴子 先生
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