「なぜ生まれてきたのか」 弘法大師はどう答えた?

悩める弘法大師
「なぜ生まれてきたのだろう?」「生きる意味って何?」普段は全然意識していないのに、ふとした時にこういった漠然とした不安を感じたり、悩んだりすることってありませんか?
実は、1200年前に活躍した弘法大師空海も、私たちと同じようにそのことに悩んでいます。その答えを求め、命がけで中国にわたった弘法大師は、そこで「密教」という教えに出会います。その教えの中にこそ、求める答えがあると確信した弘法大師は、死ぬほど勉強してその密教の教えを習得しました。
即身成仏=ヒーローになる!
弘法大師が習得した密教の教えの根本には、「即身成仏」という考え方がありました。この「即身成仏」、あえて今風に言うなら、「今この瞬間、誰かにとってのヒーローになる!」ということです。ちなみに、成仏というのは死ぬことではありません。
弘法大師は、「仏さまは、あらゆる姿と方法で、いつも私たちを助けてくださっている」という密教の教えから、「『100%他者を助けるため』であるならば、私たちの日々の行動でさえも、仏さまの現れと言えるのでは?」とお考えになりました。「どうせムダだし」などと言い訳せずに、今この瞬間、「誰かのためにできることをしよう!」と思って行動する時、その人は誰かにとっての仏さま(=ヒーロー)になることができるのです。人種も性別も関係なく、誰もが今この瞬間にヒーローになれる。それが「即身成仏」という考え方です。
まだまだ研究することだらけ
歴史上の出来事は、新しい資料が見つかったり、研究が見直されたりするたびに、どんどん変化します。弘法大師の研究も同じです。例えば、今までは「絶対に弘法大師が書いた!」と言われていた本も、最新の研究では「絶対そうだ」とは言えなくなっています。
仏教の研究は、まだまだ研究されてないことが、山ほどあります。弘法大師を通して日本に伝わってきた密教ですが、1200年以上にわたって信仰されてきた教えが、浅いわけがないのです。
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高野山大学文学部 密教学科 教授土居 夏樹 先生
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