ロボットに心は宿るのか?

ロボットに心は宿るのか?

ロボットは楽しく踊る?

近年、さまざまなロボットが開発されています。例えば、人間のようにダンスを踊るロボットの動画を見ると、まるで楽しんでいるかのように感じられることがあります。現状では、ロボットの動きはプログラムによって制御されており、実際に楽しんでいるわけではありません。それでも、動きや表情が人間らしくなるほど、私たちはそこに「心」を感じてしまうものです。

AI+ロボット

AIの進歩は著しく、特にChatGPTのような大規模言語モデルの登場により、人間とスムーズに会話できる技術が発展しています。こうしたAIをロボットに組み込めば、さらに高度な対話が可能になり、人間はロボットに心があると錯覚する場面が増えるでしょう。
イギリスの企業が開発したロボット「アミカ」が人間と会話する動画があります。人間が「あなた、においますよ」と話しかけると、アミカは一瞬間を置いた後で「それは失礼な言い方ですね」と人間らしい反応をします。しかしロボットは機械であるため、におうこと自体があり得ません。つまりアミカは学習した返答をしただけであり、自分の体を理解しているわけではないのです。

工学と心理学の融合

私たちの心は、体と深く結びついています。例えば、嬉しいときに心臓がドキドキするのは、心の動きが体に影響を与えている証拠です。つまり、心と体は一体であり、自分の体を理解していないロボットは、体に伴う「心」も持っていないと考えられます。その一方で、技術が進化するにつれてロボットはより人間らしく振る舞うようになり、ますます心があるように見えるはずです。
そこで重要になるのが、人とロボットとの関わり方です。ロボットに本当に心があるのかどうかだけでなく、どのように関わることが人間にとって豊かな関係を生み出すのかを考える必要があります。工学だけでなく心理学の視点も不可欠であり、工学と心理学とを融合させた、人とロボットの新しい関係を探る研究の進歩が期待されます。

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先生情報 / 大学情報

東海大学 文化社会学部 心理社会学科 教授 田中 彰吾 先生

東海大学文化社会学部 心理社会学科 教授田中 彰吾 先生

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身体性哲学、現象学、理論心理学

メッセージ

「心の豊かさ」は、人との関わりの中で育まれます。思春期には人間関係が難しく感じられることもあると思いますが、だからこそ人間関係の大切さに気づいてほしいです。今の時代はデジタルを通じたつながりが当たり前になりました。これは、とても便利な一方で、人との関係が簡単に切れてしまうという側面も持っています。その良さと悪さを考えながら、人とのつながりをあらためて考えてみましょう。さまざまな人と関わることで、自分の心も磨かれていくはずです。

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