引っ越し先はリゾート地! ライフスタイル移住がもたらす影響

ライフスタイル移住が増加
生活の質の向上を求めて移住する「ライフスタイル移住」という現象があります。従来、欧米で多く見られましたが、日本でも増加傾向にあります。特に東京からアクセスのいいリゾート地が人気で、軽井沢町、鎌倉市、那須塩原市などに移住する人が増えてきました。このライフスタイル移住によって、各地域はどう変化しているのか、住民へのインタビュー調査とビッグデータを組み合わせた研究が進められています。
軽井沢に移住する人々
軽井沢町の事例を見てみましょう。軽井沢は避暑地や高級別荘地として発展してきた地域で、主に東京に住んでいたファミリー層が移住しています。特に2020年のコロナ禍以降にテレワークが広まったことで、自然が豊かな場所でのびのびと子育てをしようと引っ越す人が増えました。東京都心よりも土地が安く、広い家に住めることも魅力になっています。
人口減少に悩まされている全国の自治体にとっては、うらやましい現象だといえます。しかし軽井沢はこのまま移住者の受け入れや土地開発を促進するか、それとも環境保全に力を入れるべきか決断を迫られました。住宅建築などのために森林が伐採されていることが問題視されたからです。地元住民も移住者も、自然豊かな景観を守りたいという思いは同じです。そのため町全体の方針として、新しいマンションの建設や森林の伐採を抑制する方針を打ち出しました。
森林は本当に減った?
一方で軽井沢の土地利用に関するデータを分析すると、減少した森林面積は実は極端に大きいとはいえず、町にはまだ多くの森林が残っていることがわかりました。森林伐採が住民たちの目につく場所で行われたことで、「開発によって森林が減った」という印象を与えた可能性があります。しかし、今後さらに森林面積が減少していく可能性は高いといえます。客観的なデータと主観的な意識との関係については、さらに研究が必要です。また、景観維持と開発の両立以外にも地域にもたらす影響があるかを探ろうと、調査が続いています。
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東海大学教養学部 人間環境学科 助教鈴木 修斗 先生
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