ドラえもんの登場は近い!? ロボットと人間が対等に話す世界

ドラえもんの登場は近い!? ロボットと人間が対等に話す世界

友だちのように話せるロボットがいたら

自動販売機やエレベーターなど、世の中ではさまざまな機械がしゃべり始める時代になりました。しかしながら多くのシステムは、丁寧な「です・ます」口調で書かれています。では、もしドラえもんのように語りかけてくれるロボットがあったらどうでしょう。しかも、ぎこちない口調や、丁寧すぎる口調ではなく、親しい仲間で交わされるような言葉遣いで話しかけられたら、あなたはそのロボットに、より親しみを抱くかもしれません。現在、そのような研究が盛んに行われています。

ロボットやAIには難しい、言葉への配慮

相手との関係性は、話し口調に表れます。上司や先輩ならかしこまった口調、友人ならくだけた口調、男女でも選ぶ言葉が違います。人は経験や知識から無意識に相手に配慮した口調に変えますが、これはロボットやAIにはかなり難しいことです。なぜなら相手の性別や年代、表情、気持ちまで読み取って言葉を選べるよう、細かいプログラムが必要だからです。
その一助になるのが、言語学の分野で研究が進んでいる「ポライトネス理論」です。これは発する言葉が対人関係にどう影響するか、相手がどう思うかという、人間関係の距離を調整するための言語的な配慮に着目した研究分野です。例えば、相手との距離を近づけるポジティブポライトネスで15種類、互いの立場や距離を侵害しないネガティブポライトネスで10種類などの会話戦略があり、このような会話戦略をロボットやAIに応用することができます。うまく使い分けができたら、人はロボットやAIにより親近感を抱くかもしれません。

人間らしいってどういうこと?

「目は口程に物を言う」と言われるように、人は、相手の視線の動きで人間らしさを認識すると言います。そして同じように人間らしさを認識するのが口調です。感情が表れやすいからです。人間らしい要素が加わると、人は相手がロボットだということすら忘れ、親しく接するようになるでしょう。ロボットと人とが対等に接する時代が、もう目の前まで来ているのです。

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先生情報 / 大学情報

東京工芸大学 工学部 情報コース 教授 片上 大輔 先生

東京工芸大学 工学部 情報コース 教授 片上 大輔 先生

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人工知能、工学、知能情報学、言語学

先生が目指すSDGs

メッセージ

今は、ロボットが人間のようにおしゃべりするなど、夢物語だと思っていた世界が現実になりつつある、とても面白い時代です。もしあなたがこれらのロボット分野や情報分野に興味があるなら、近い将来、最先端技術の開発に携わることができます。実際に、あなたの手で未来の世界を作り出すことができるのです。もうワクワク感しかありません。同時にこの分野は進歩が速く、新しいことがいくらでも始められる分野です。未来の研究者をめざして、ぜひ一歩を踏み出してください。

先生への質問

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東京工芸大学は 1923(大正 12)年に創設された「小西寫眞(写真)専門学校」を前身とし、創設当初から「テクノロジーとアートを融合した無限大の可能性」を追究してきました。
工学部と芸術学部の 2 学部を有し、工学部は 1 年次に写真とデザインを学ぶことで芸術的なセンスを身につけ、芸術学部はメディアアートを通して工学的な技術を身につけるという、一見相反する両分野を融合させた教育を実践しています。