日本の未来を救う? 幸福感あふれる出産を支える助産師

WHOも推奨するポジティブ出産
人体には、見事な仕組みがあります。それが最大限に発揮されるのが、出産です。陣痛時には、痛みを和らげて気分を高揚させ、幸福感を得られるβ-エンドルフィンというホルモンが大量に分泌されます。陣痛を促すオキシトシンというホルモンは、幸せや安らぎを与えつつ、赤ちゃんへの愛情を強めて授乳を促してくれます。これらの働きは妊婦に「こんなに幸せ気分になれるなら、また産みたい」という気分にさせるのです。
満足する出産をすると、妊婦は幸福感を得て、子どもへの愛情が深まるといわれています。医療の介入を極力避けつつ、陣痛の怖さや痛みを和らげ、自然な出産をめざす「ポジティブ出産」が今、WHOでも推奨されています。
幸せな出産をサポートする
これを実現するのが、助産師です。解剖学や生理学に基づく体の仕組みを理解した上で、自然分娩(ぶんべん)をサポートします。自然分娩は、妊婦が正常な経過であることが前提です。触診やME機器などの診察手段を通じて妊婦や胎児の状態を診断し、起こりうることを予測します。異常があれば医師と連携を取りますが、助産師が「正常」を知っているからこそ判断できるのです。
出産には、娩出力(陣痛やいきむ時の腹圧)、産道(胎児の通り道)、そして胎児の3つの要素が重要です。陣痛が弱まるなどがあれば、妊婦に立ったり歩いたりしてもらいます。薬や医療行為に頼るのではなく、3要素が働くよう、妊婦の産む力や胎児の力を引き出すケアをするのです。
助産師を育てる教育と教材開発
助産師の育成には、教育が不可欠です。助産学生は、実際の出産場面に関わり、分娩介助をさせていただく実習により臨床能力を高めていくからです。
そのためには、理解しやすいよう、リアルに診察できる模型や、出産の仕組みがわかるアイテム、推論を高めるための教材などが開発されています。
分娩時に大切にされた妊婦は、自分の子を大事にする傾向があります。日本の未来のためにも、適切な分娩をケアできる助産師が必要とされているのです。
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