あなたの生きづらさは、あなたの責任ではない
インクルーシブ教育の導入に向かって
日本の学校では、障害のある生徒は特別支援学校や特別支援学級で学ぶなど、健常者と分けられた教育が長らく行われてきました。障害のある人も同じ社会の中で共に生活をしているのに、学校では別のクラスで授業を受けなければならなかったのです。日本では2011年に障害者基本法が改正され、2016年頃からインクルーシブ教育という、障害のある生徒とない生徒が同じ空間で共に学ぶ取り組みをめぐる議論が始まりました。大阪では被差別部落や在日コリアンの課題があり、以前より人権教育が手厚く進められてきた歴史があります。そのため、インクルーシブ教育も比較的早い段階から取り入れられることになりました。
直面している課題を見つけるために
学校には障害のある生徒をはじめ、さまざまな困難を抱えたマイノリティ(社会的少数者)が通っています。こうした生徒がどのような体験をしているのかを明らかにするためには、質的調査と呼ばれる手法が有効です。実際の学校現場における観察などを含めたフィールドワークを通じて、彼らがどのような扱われ方をしているのか、そしてどのような困難に直面しているのかという現状や課題を確認するのです。その後、本人や周囲の先生たちへの直接的なインタビュー調査を通じて、より具体的な検討へと進んでいきます。
誰もが一緒に生活できる社会を作る
教育現場に限らず、世の中にはさまざまな生きづらさを抱えた人たちがいます。その生きづらさは個人の課題ではなく、社会のあり方そのものを問い直す必要がある、私たちみんなの問題なのです。身体的や精神的な障害のみならず、日本に住んでいる外国人やLGBTQなどの性的少数者、そして引きこもりも含め、誰もが一緒に暮らしていくための基盤作りを進めていかなければなりません。マイノリティを通じて社会における課題を見つけ出し、それらを改善していくことは、すべての人にとっても過ごしやすい社会作りにつながっていくのです。
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先生情報 / 大学情報
関西国際大学 社会学部 社会学科 准教授 山本 晃輔 先生
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