共生社会に向けた「インクルーシブ教育」って?
障がいのある子もない子も同じ場で学ぶ
2006年に、「障がい者の権利に関する条約」が国連で採択され、日本も2014年2月に批准しました。日本の学校教育では、障がいのある子に対して特別支援学校や特別支援学級を中心に教育してきましたが、今後は、障がいのある人とない人が共に学ぶ「インクルーシブ教育」という考え方が求められます。この考え方は、障がいのあるなしだけでなく、宗教や民族、性別、年齢なども含め、それぞれの多様性を認め、共に生きていく社会をつくるという世界的な流れです。日本では、2007年の学校教育法の改正以来、障がいのある子も通常の学級で学べるような準備を進めてきました。現在、ほぼすべての公立の小中学校に、特別支援のための校内委員会が組織され、特別支援教育コーディネーターが指名されています。
「インクルーシブ教育」導入の課題点は?
しかし、インクルーシブ教育の普及には、まだ大きく分けて2つの課題があります。1つはソフト面で、通常の学級の教師や子どもたち、保護者に、障がいのある子と一緒に学ぶという意識を持ってもらうことです。特に、すべての教師が適切な指導・支援ができるように、研修制度などを充実させていく必要があります。
もう1つは、ハード面です。例えば、車いすでも移動がスムーズにできるように校内をバリアフリー化したり、机やいすを整備したりしなくてはなりません。
多様性を受け入れるために大切なこと
共生社会を実現するために最も必要なことは、教師や子どもたちがいかに多様性に対する感覚を身につけていくか、ということです。インクルーシブ教育が進んでいるのはヨーロッパですが、もともと多民族国家なので、多様性を受け入れやすいのでしょう。今後、日本でもグローバル化が進み、さまざまな国籍や文化、考え方を持つ人たちと共に生きていくことになります。お互いが理解し合うためには、相手の立場でものを考えるということが、とても大切です。
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