「マクロ経済」から社会の姿を読み解こう!

経済学は方法論
経済学という学問は、社会を読み解く「方法論」の一つです。方法論とは、対象を分析するための規則や前提条件、手法に関する一連の手続きです。方法論を理解していなければ、対象を表面的にしか見られず、場合によっては誤った結論に至ってしまう可能性すら出てきます。
例えば、患者の多くはレントゲン写真を理解できませんが、医師は理解して病気を発見できます。医師はレントゲン写真についての方法論を知っているからです。
経済を学ぶということはつまり、医師がレントゲン写真を理解するように、「社会を理解する方法を学ぶ」ことを意味します。
経済成長と景気循環
「マクロ経済学」は、一国の経済活動を分析する学問です。その分析の柱になっているのは、「経済成長論」と「景気循環論」という2つの理論です。
経済成長論では、GDPや経済成長率などに注目します。例えば日本のGDP(国内総生産)は、1960年代に年平均10%もの高度成長を遂げましたが、2000年代は0.6%にまで落ち込みました。なぜこうなったのか、この変化は偶然か必然かを解明するのが経済成長論の役割です。
景気循環論は、消費と所得の関係に注目します。通常は所得が増えれば消費も増えますが、日本では、2000年から2001年にかけて、所得が減ったにもかかわらず消費が増えるという不思議な現象が起きました。このような現象が起きた理由を解き明かすことが、景気循環論の重要なテーマの一つです。
経済を知れば社会の見え方が変わる
経済成長論を学べば、裕福な国と貧しい国の違いが生まれる理由が見えてきます。景気循環論を学べば、景気循環の背景やそのメカニズムが見えるようになります。この2つの理論を組み合わせれば、「マクロ経済の視点から社会を見る」方法論を得られるでしょう。
経済学は、決してお金のことだけを考える学問ではありません。社会の見え方が変わり、新しい世界を知るきっかけになるものなのです。
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