スマホやファストファッション、身近な製品から考える国際関係

スマホやファストファッション、身近な製品から考える国際関係

遠い国の動向が私たちの生活に影響を与える時代

国際関係論の大きなテーマとして「戦争と平和」の問題が挙げられます。国同士の関係を考え、どうすれば戦争を未然に防ぐことができるかを理論的かつ現実的に研究します。遠い海外の国で戦争や経済危機が起こったら、私たちの生活にどんな影響があるのでしょうか? 例えば、食品や原油などの、いわゆる一次産品の価格が上昇すると、日本で売られている商品の価格にも大きな影響が出ます。グローバル化が進む時代において、国際関係論は私たちの生活とも密接に結びついているのです。

アメリカと中国の交渉がスマホの生産に影響?

今や生活必需品ともいえるスマートフォンは、グローバルな生産網の中で作られています。iPhoneはアメリカのアップル社の製品ですが、本体や内部の部品は主に中国や台湾、日本、韓国などで作られています。さらに、それらの部品の原材料は世界中から調達されています。つまり、ひとつの国だけで製造されているわけではないのです。アメリカと中国が貿易について交渉するニュースを見てもピンとこないかもしれませんが、その結果が身近なスマホの生産と価格に大きな影響を与えることになるのです。

ファストファッションが安い理由

あなたも持っているであろう、ファストファッションの洋服を生産しているのは、アジアなどの国々の低賃金労働者です。日本で1日のアルバイトで稼げる額と1カ月の給料が同じといった国も世界にはまだあります。安くておしゃれな洋服は、グローバルな貧富の差を生む国際経済の仕組みの中で作られているのです。
それでも、これまで貧しかった国が縫製業の発展により経済成長したり、労働者が現金収入を得られるようになったり、という側面もあります。しかし、グローバル化によって国が豊かで便利になる一方で、国内の格差の問題や労働問題といった負の側面も生まれているのです。国際関係論を学ぶということは、世界の今の流れを多面的に理解することにつながります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

フェリス女学院大学 グローバル教養学部 国際社会学科  国際関係専攻  ※2025年4月開設 教授 杉之原 真子 先生

フェリス女学院大学 グローバル教養学部 国際社会学科 国際関係専攻 ※2025年4月開設 教授 杉之原 真子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

国際関係学、国際政治経済学

先生が目指すSDGs

メッセージ

国際関係論、国際政治経済を考えることは、現代社会そのものを理解することです。今や、私たちが普段手にするもの、例えば食品や衣料品、電子機器の多くが、なんらかの形でグローバル経済に組み込まれています。
そうした食品の原材料や衣類などがどこの国で生産されているのかを調べてみてください。そして、それらの国に興味を持ち、あなたがいろいろな国とつながっていることを考えてみてください。身近なものと世界がつながっているというロマンを持つことで、より一層、あなたの視野が広がるでしょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

フェリス女学院大学に関心を持ったあなたは

フェリス女学院大学は、1870年に日本初のキリスト教系女子教育機関として誕生して以来、
「For Others」をモットーに自立した女性を育成することを目的として教育を続けてきました。
主体性を伸ばす少人数教育やきめ細やかな学習サポート、豊富な海外留学制度や個人相談を重視した就職サポートなど、学生の意欲と質を高める制度も充実しています。
創立者メアリー・E・キダーは、明治期に女子教育を行うという目標に果敢に取り組みました。フェリス女学院大学で、あなたらしい目標を探してチャレンジしてみませんか?