嫌いなはずの日本に、中国人観光客はなぜ大勢来るの?
実は思い込んでいるだけ
あなたは「中国人は日本が嫌いだ」というイメージを持っているかもしれません。しかし日本で学ぶ留学生で一番多いのは中国人ですし、観光地や繁華街には大勢の中国人観光客が訪れています。「なぜ」彼らは嫌いな「はず」の日本に来ているのでしょうか?
中国の歴史教科書を調べてみると、例えば南京事件のことも思ったほどひどくは書かれていません。少なくともこれを学んだからといって、必ず反日感情を抱くとは考えにくい内容です。実際、中国に行っても、反日感情を持っている人と出会うことはごくまれです。大多数の人には実際の「戦争の傷跡」の記憶などありませんし、そもそも無関心であるといえます。実は、私たちが「中国人=反日」と思い込んでいるだけなのです。
問題は歴史ではなかった
日本と中国、韓国の関係は、1980年代頃までは経済力・技術力の上回っていた日本が支援するという立場でした。しかし、今や日本と中国、韓国は少子高齢化という同じ悩みを抱え、同じ土俵で勝負をしています。例えば、日本がいま力を入れている観光産業では、韓国がカジノを、中国がディズニーランド、ユニバーサルスタジオの誘致というように、同じ分野での争いが激化してきています。その結果当然、利害がぶつかり経済摩擦が起こります。そこで中国や韓国は「そういえば昔、日本はこんなことを我が国にしましたね」というカードを切り始めたのです。つまり、よく見聞きする歴史認識や領土の問題は「後付け」であり、本質的な問題は別にあるといえます。
相手をよく知ることが大切
国際関係では「相手を知ること」が一番重要です。自分自身の「なぜ」を放置し、ほかの人の判断を鵜呑みにすることほど怖いものはないのです。ひとつの情報を得たら、必ずその反対意見も調べてみる必要があります。そして最後に判断するのはあなた自身です。ただ自分で考え判断を下すには、たくさんの知識が必要となります。いま国際関係で求められているのは、「親~家」(例えば「親日家」)ではなく、「知~家」なのです。
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先生情報 / 大学情報
阪南大学 国際学部 国際コミュニケーション学科 教授 永田 拓治 先生
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