用水路でも、上下水道でも! 未活用資源を生かす「小水力発電」

「小水力発電」の可能性
再生可能エネルギーとして、太陽光発電や風力発電がよく知られていますが、天候などに左右されがちで発電量が不安定というデメリットがあります。太陽光は夜には発電できませんし、風力も風の強さや向きが目まぐるしく変わります。
それらと比べると、水力発電による電力は比較的安定しています。また、発電設備の設置から廃棄までにどれくらいの二酸化炭素を排出するかという「ライフサイクルコスト」は、水力発電が最も低いというメリットもあります。日本は山林の面積が多く、特に山間地域では山林に保水された水資源(包蔵水力)が活用できます。そこで、そうした未利用の資源を使った「小水力発電」を普及しようという取り組みが行われています。
上下水道での先行事例
小水力発電は、上下水道や農業用水、小川などに、水車や発電機、電力変換器などを設置して小規模で発電するものです。ただし発電量が少ないため、周辺地域でのイルミネーションなど、小規模の電力需要に利用します。
小水力発電では、発電に利用する水路や、発電した電力の用途がそれぞれ異なるため、個別に水車や発電装置を開発します。発電した電気の周波数や電圧などを、使用する機器に合わせて、マイクロコントローラーを使って制御し、適切な数値に変換する必要があります。
既に成功した事例の一つに、新潟県柏崎市の上下水道に設置した小水力発電があります。それにより、柏崎市では発電事業収入を得ることができています。
普及のカギは
小水力発電は、開発費や維持費と発電による利益が見合わないことや、発電した電力の使い道が少ないことが、普及の妨げになっています。そこで、どのような条件でも設置できる汎用型の小水力発電機の開発や、地域に合わせた電力の応用方法の研究も進んでいます。
また、山間部では雪が多く、冬に雪で水車が回りにくくなるケースがあります。そのため、AIやセンサを使って、安定して発電できる水車の研究も行われています。
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