同じ植物でも品種によって違いがある
植物の分類カテゴリーを知る
自然に自生している植物には、名札がついているわけではありません。だから、それが何という名前なのか、何の仲間なのかを見分けることは難しいですが、それが植物研究の原点です。一般に生物の分類カテゴリーとしては、大きなカテゴリー順に「界」、「門(もん)」、「綱(こう)」、「目(もく)」があり、次に「科」、「属」、「種」と続き、その下に亜種、変種に細分化されています。
ある野生の植物を見て、ここに自生しているものと、山をひとつ隔てて自生としているものとの違いは何か。種(しゅ)が違うのか、その違いは何であり、環境が要因なのか遺伝的要因なのかを形態や遺伝子レベルで研究を進めて行きます。
品種開発は、植物の細かな違いや特徴を見分け、従来その植物にはない新しい形質を導入していくことです。その取り掛かりとして植物を分類し、見分けることができる知識が必要であり、これが園芸植物を含めた植物研究の基本になるのです。
青いバラや青いカーネーションも誕生
園芸植物でも外見的な部分は同じように見えても、ある遺伝子が特異的に異なっていることがあります。それを理解するためには、園芸植物の起源を研究したり、その植物の親を特定したりすることもあります。
園芸植物に関しては、「どこから導入されたものなのか」という来歴の研究や、新しい品種の開発が日夜進められています。自然界ではありえないと言われていた青いバラや青いカーネーションも品種開発技術によって生まれました。これは、人工的にほかの花の遺伝子を組み込んで開発されたものです。このように品種開発には交配だけでなく、遺伝子の導入や組み換え、より新しい培養技術なども必要となっているのです。もちろん品種開発だけでなく、その植物に適した効率的な増殖技術や生産(栽培)技術、出荷技術も重要です。このように新しい花を世の中に誕生させるためには、さまざまな技術を駆使し、多くの研究者や技術者、生産者が関わっているのです。
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