より良いコミュニケーションに欠かせない「ストーリー」の力

より良いコミュニケーションに欠かせない「ストーリー」の力

コミュニケーションに必要な「ストーリー」の力

「ストーリー」と聞くと「架空の物語」を思い浮かべる人が多いと思いますが、広義における「ストーリー」は、人の心に響く言葉や物語全般を指します。良いストーリーには必ず、「Character(主人公)・Conflict(問題や敵)・Attempted Extrication(問題解決)」という3つの要素があります。例えば、『ハリー・ポッター』の物語では、ハリーは「ヴォルデモート卿」という敵と戦っていますし、内なる敵である自分自身との闘いも描かれています。これを見事に克服するというストーリーが、読み手の心に響くのです。

「ストーリー」があれば相手に好印象を与える

ストーリーがコミュニケーションに影響するかどうかを調べるために行われた実験があります。一つの事象について「事実だけを羅列した文章」と、「ストーリーの3要素を含めた文章」を作成し、2つのグループに読んでもらうというものです。その結果、後者の方が高い好感度を得ました。ビジネスパーソンであれば、商品や企画のプレゼン資料に、特徴だけでなく「ストーリー」を持たせることで、人々の共感を得やすくなります。また、企業が「製品のストーリー」を発信することで、消費者の好感度を上げ、購入意欲を高めるのです。

「ストーリー」の力で語学力アップ

ストーリーは学習効果も高めてくれます。ストーリーと語学学習の関係性に焦点を当て、近年注目を集めているのが「多読」という、読んで字のごとく本をたくさん読むプログラムです。多読の書籍に使われる英単語は、辞書を使わず読めるよう、レベルに応じて綿密に精査され、日常生活で使用頻度の低い単語は使われません。また、ストーリーには前述の3要素が含まれていることから、興味を持って読み進められるというメリットがあります。心に響くことで記憶に残り、語学力が定着するようになっています。ストーリーの持つ力はさまざまなところで生かされるのです。

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専修大学 国際コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科 教授 ポーシャック, ジョセフ W. 先生

専修大学 国際コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科 教授 ポーシャック, ジョセフ W. 先生

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言語学、外国語学、コミュニケーション学

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メッセージ

「ストーリー」は相手の心をとらえてアクションを促す力を持ちます。例えば政治家は、ストーリーの力をよく理解し、活用しています。ストーリーの力を知った上で話を聞けば、事実かそうでないかを冷静に見分けることができるようになるでしょう。
また、学校での発表や就職の面接、仕事における営業・マーケティング活動などでも、ストーリーを用いれば、効果的なアプローチができます。単に事実を並べるのではなく、相手の心に響くストーリーで伝えることで、あなたの人生が大きく変わるかもしれません。

先生への質問

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専修大学は、1880年(明治13年)に経済科と法律科からなる専修学校として創立されました。「経済科」は日本初の、また「法律科」は私学で初の高等教育機関でした。2024年に創立145年を迎える、日本でも屈指の伝統を持つ大学です。社会科学、人文科学、総合科学、の3系統、8学部20学科からなる社会人文系総合大学として、「自ら問題を見つけ主体的に解決する知力」と「人間力」、「倫理観」を持った人材を育成しています。まずはオープンキャンパスの大学紹介や模擬授業に参加して、大学の雰囲気を体感してみてください。