遠い場所の作業をロボットが代行するには

遠い場所の作業をロボットが代行するには

遠隔地からロボットを操作

宇宙や災害地など人間には危険な場所でも、ロボットなら作業ができます。ロボットが、離れた場所にいる人間の動きをまねて動いてくれれば、人間がその場に行く必要はありません。このようなシステムが実現すれば、出張しなくてもロボットを送るだけで遠方の仕事ができるほか、障害のある人の社会参加に役立てることも考えられます。

3台のカメラで視界をカバー

このシステムでは、頭にカメラが付き、2本のアームを搭載した人間の上半身のようなロボットを遠隔地に置いて、人間はヘッドマウントディスプレイでロボットが見ている映像を見ながら動くことを想定しています。人間の動作は計測されて、動作を指示する情報としてロボットに送られます。
作業中に何かに隠れて手元の視界が遮られると、人間なら頭を横にかたむけたり、回り込んだりして視界を確保します。しかし、ロボットは視界が遮られても、簡単に頭を動かすことはできません。そこで、頭に加えて、左右のアームの先にもカメラを取り付け、3台のカメラの画像を合成して、好きな場所から見た、あたかも障害物を透過したような映像を作ります。人間なら五感をフルに使うところを、ロボットでは補助的な機能をつけてカバーするのです。

ロボットが自律的に判断

人間は何かをつかむ場合、目的に応じて15種類ほどのつかみ方を使い分けています。しかし、アームに付いたロボットハンドは、2本指のものや、関節の位置が違うものなど多様な形をしており、人間とまったく同じ動作ができるわけではありません。そこで、それぞれのつかみ方に対応するロボット独自のつかみ方をあらかじめ教えておき、ものの位置や形に合わせて人間の動作をロボットが可能な動作に自動的に変換します。人間の指示に従いながらも、ロボットが自律的に考えながら動いてくれる機能を持たせることが重要なポイントです。
現在は、知らないものを操るような例外的な事態には、ロボットは対応できません。そのような場合にどう対処するのかが、これからの課題となっています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

和歌山大学 システム工学部 機械電子制御メジャー 准教授 小川原 光一 先生

和歌山大学 システム工学部 機械電子制御メジャー 准教授 小川原 光一 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

ロボット工学

メッセージ

ロボット工学は、ハードウェアからソフトウェアまでさまざまな分野の知識が必要になる総合学問です。私は高校生の時からロボットに携わりたいと考えていたわけではありません。しかし、今になって振り返ると、学校で学んだことだけではなく、ものづくりやプログラミングなど、その時々で興味を持って始めたことの延長線上でつながっていたと感じています。
あなたもロボットに興味があるなら、今から一歩を踏み出しましょう。インターネットなどを使えば、さまざまな知識が得られます。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

和歌山大学に関心を持ったあなたは

和歌山大学は未来を託そうとする若者、保護者のみなさんの願いを受けとめ、若者とともに希望ある未来を創り出したいと決意しています。
新たな学びの場・新たな生活の場へ、期待とともに不安もあると思いますが、国立大学の強みは、学生数に対して教員数が多く、学生と先生の"つながり"が強固なことです。なかでも和歌山大学は、小規模クラス授業や対話的授業を重視するなどきめ細やかな教育と、行き届いた学生生活支援の体制を整えています。そして、卒業後の進路・就職を拓くキャリア・サポートには定評があります。