経済の大きな枠組みを考える「マクロ経済学」
ミクロ経済学とマクロ経済学
経済学は大きく「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」に分けられます。「ミクロ経済学」は1つの市場について考える学問です。例えばリンゴの値段はどうやって決まるのか、どれくらいの量が取引されるか、リンゴに税金がかかると何が起こるのかなどを分析します。
それに対し、「マクロ経済学」は国全体といった大きな枠組みで経済を考えます。人が生活するには商品の市場だけでなく、さまざまな市場が必要です。賃金を得るための労働の市場も、お金の貸し借りをする市場もあります。基本的にそれらは全部つながっているため、1つの市場で何か起きると、ほかの市場にも影響を与えます。そういった動きが国全体の経済を決めるのです。
キャッチアップが経済成長を促す
日本の場合、高度経済成長期から経済成長のスピードは徐々に遅くなってきています。例えば、海外ではキャッシュレス化が急速に進んでいますが、まだ日本ではあまり普及していません。また、ペーパーレスなどの仕事の効率化も遅れていると言われています。途上国が先進国の持っている技術を使い急速な経済成長を果たすことをキャッチアップと呼びますが、日本もこうした部分でキャッチアップは必要であり、そうすることで、日本の経済によい刺激を与え、経済成長が促されると考えられます。
2つの分野を融合して経済を分析
「経済成長論」は国の豊かさを分析するマクロ経済学の一分野です。経済成長は大きな時間の流れの中で経済の動きを見るものです。経済は景気の循環により小刻みにも動きます。景気の激しい上下はよくないと考えられていますが、景気の循環自体は避けられないことでもあります。経済状態が悪いときに、景気が悪いのか、経済成長が止まっているのかの判断は困難です。
これまでは経済成長と景気の循環は分けて分析されてきました。しかし、最近では、それぞれの分野で研究してきたことを組み合わせて分析できる枠組みをつくり、経済全体を考えるとどうなるかという研究も始まっています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
東京都立大学 経済経営学部 経済経営学科 准教授 荒戸 寛樹 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
マクロ経済学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?