人はなぜ人を信頼するのか
「信頼」をプログラムする
「信頼」のメカニズムをコンピュータ上で実験することができます。一つの仮想社会を作り、その社会を構成する一人一人に、それぞれの傾向をインプットし、それらの人々を交流させます。この時、信頼して上手くいった人は、次の日も同じように信頼するのか、裏切られて失敗した人は、用心深くなるのか、周囲を見回して上手くやっている人のまねをするとどうなるかなど、経験からくる学習、模倣などの要素を入れておきます。その社会全体で時間が経過した時、信頼関係が築かれているのか、崩れているのかをシミュレーションすると、さまざまな社会の状況を知る手がかりを見つけ出すことが可能です。
日本人は信頼が苦手?
「あなたは大抵の人を信頼できると思いますか」という質問を日本人とアメリカ人にしたところ、「はい、信頼できる」と答えた人の割合は、アメリカ人のほうが断然多いという結果が得られました。では「信頼」はどんな状況で生まれるのでしょうか?
例えば、ある村では全員がリンゴを作っています。村の中に裏切りはなく、リンゴを村人同士で交換するのには何の心配もありません。町へ出ると、ほかの村の人たちが、みかんや肉などを売っています。そこで、みかんを手に入れるため、自分のリンゴと交換しようとします。みかんを食べることは、村でリンゴを食べることよりずっと楽しいことなのです。しかし、騙されて腐ったみかんを渡されるかもしれません。でも、腐っていることを恐れて何もしないと、みかんを手に入れることはできません。この物々交換が成立する時、そこに「信頼」が生まれているのです。
人を信頼できる人は、ビジネスにおいても大きなチャンスをつかむ可能性があります。グローバル化が進む現代、日本を出ると世界中にさまざまなチャンスがあり、その分、騙されるかもしれないと感じる場面も多いのが現実です。チャンスを生かすには、信頼することも大切です。
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