クマやシカ、イノシシの生息の実態を探るには?
動物と自然、人間自身を守るために
日本の森林には、クマやシカ、イノシシなどの野生動物が多く生息しています。開発によって生息数が減少している野生動物もいますが、種によっては増加して人に被害を及ぼす動物もいます。そうした野生動物の生息する範囲や数を正確に把握することは、動物たちを保護するだけでなく、自然環境、あるいは人間自身を守るために必要です。
ツキノワグマはどこにいるのか?
本州と四国に生息するツキノワグマは、そのほとんどが山奥に生活していて行動範囲も広いため、生息数を把握するのが非常に難しい動物です。最近では、ヘア・トラップ法という体毛を回収してDNA解析から個体識別を行う調査が行われています。西日本では地域によって絶滅しているところもありますが、岩手県では安定した個体群が維持されていることがわかりました。しかしその生息密度は地域によって濃淡があることも分かってきており、地域的な絶滅も危惧されています。数年に一度、人間が暮らす里に大量出没することがあり、さまざまな要因が推測されていますが、解明には至っておらず、さらなる研究が必要となっています。
増えすぎが危惧されるシカとイノシシ
ニホンジカやイノシシは明治・大正時代に狩猟によって生息数が激減しましたが、2000年以降は急激な生息分布の拡大が明らかになっています。もともとの繁殖力の強さに加え、猟師の減少、平均の積雪量の減少、地方の過疎化、かつて国内に生息していたオオカミの不在など、様々な個体数増加の要因が考えられています。このまま数が増え続けると、農作物に被害が及ぶだけでなく、森林内の草木が食べ尽くされて土砂流出を引き起こす危険性もあります。そのため、人間が狩猟などによって生息数を適切にコントロールし、生態系を守っていく必要があります。
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先生情報 / 大学情報
岩手大学 農学部 森林科学科(令和7年度から農学部 地域環境科学科 森林科学コース所属) 准教授 山内 貴義 先生
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先生への質問
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