子どもと良い関係を築くには、どうすればいい?
特別支援教育に活用される「応用行動分析」とは
「応用行動分析」は心理学の分野の一つで、人間の行動に注目して、どのようにすると適切な行動が増えるか、どのようにするとよくない行動が減るかを考える学問です。まだあまり知られていませんが、発達障がいの子どもの特別支援教育や消費行動、スポーツの練習を続けるモチベーションをいかに高めるかなど、さまざまな分野に応用されています。
発達障がいの子どもに適切な行動を教える手法
発達障がいの子どもたちは状況をつかむのが苦手なことが多く、あらゆる場面で適切な行動をとることが難しい状況です。そこで、特別支援教育では応用行動分析を使って、そうした子どもにとって適切な行動がしやすい環境を、保護者や先生などがつくっていきます。
例えば、攻撃的な子どもに「たたいてはいけない」と言っても直りません。まず、どういう状況でほかの子どもをたたくのかを観察します。おもちゃがほしいときにたたく場合は、たたいたら先生がおもちゃを取り上げ、たたいてもメリットがない状況にして、「貸して」と言えたらおもちゃを渡します。これを繰り返して適切な行動に導くのです。
子どもと信頼関係を築く
保護者と子ども、大人と子どもの関係においてよい行動をしてほめられると、その子どもの対人関係全般が安定して、問題行動が落ち着いてくることがわかってきました。保護者が子どもにポジティブな声かけを集中的に行うセラピーにより、暴れて手がつけられないような子どもの攻撃行動が減ることが、科学的なデータで実証されています。この心理療法「ペアレント・チャイルド・インタラクション・セラピー(PCIT)」はアメリカで始まり、日本では近年少しずつ普及してきました。
叱責や懲罰がなくても、子どもの問題行動を減らせるということは、「応用行動分析」の研究で明らかになっています。こうしたポジティブな方法を知っていれば、教師だけでなく、すべての保護者が子育てに生かすことができるのです。
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先生情報 / 大学情報
京都教育大学 教育学部 発達障害学科 准教授 佐藤 美幸 先生
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応用行動分析学先生が目指すSDGs
先生への質問
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