講義No.11434 看護学

看護師のイメージはどのように作られているか

看護師のイメージはどのように作られているか

看護師のイメージ

看護師と聞くと、患者をいたわる優しい人、激務をこなす大変な職業、といったイメージでしょうか。看護師は単に患者の療養上のお世話をするだけでなく、容態の変化を確認し、医師とともに診療の補助を行うこともあります。看護師を志して進学してきた学生の中には、思い描いていた看護師像と現実とのギャップに悩む人も少なくありません。このようなギャップはどのように生まれているのでしょうか。

イメージはどこで作られるか?

多くのメディアで看護師が働いている姿が取り上げられています。テレビのドキュメンタリー番組で看護の現場が映し出されることがありますが、番組を企画する人が抱いているイメージや番組で描きたい部分だけを、実際の看護の仕事の中から切り取っていることがほとんどです。例えば、看護師が「お加減いかがですか」と声を掛けながら患者の手に触れる行為は、手の様子から患者の様態を診断し、その後の援助方法を考えるために行うものです。しかし、この行為が、単に患者の心を気づかう看護師さんの優しさという描かれ方をされることが少なくありません。
コロナ禍の新聞に書かれた看護師に関する記述を調査すると、看護師の不足、看護師自身の感染、防護服を着て大変だという内容は書かれていますが、専門性を持って看護師が活躍している姿を書いた文章はほとんどありません。同じ医療職でも、医師やリハビリテーションを担う療法士は専門性が理解しやすいために、看護師よりも現実とイメージとのギャップが大きく開きません。メディアで切り取られた偏った看護師像は一般のイメージとして定着し、再生産によりギャップが増幅していくのです。

看護師は専門性の高い職業

看護師の中には、大学院修士課程以上を修了している専門看護師や、一定範囲の診療の補助ができる特定看護師など、専門性の高い職種もあります。キャリアに対するミスマッチを防ぐために、現在のイメージとのギャップを解消して正しい情報を発信することが必要なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

帝京大学 医療技術学部 看護学科 講師 齋藤 倫代 先生

帝京大学 医療技術学部 看護学科 講師 齋藤 倫代 先生

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メッセージ

看護学科の入試面接時に「コミュニケーションを学びたい」や「体力には自信があります」という人が非常に多くいます。もちろんその両方も必要ではあるのですが、看護学科では医療の専門的な知識が大切なので、大学ではたくさんの勉強が必要です。
最近では医療現場を描いたドラマに憧れて進路を決める人も少なくありませんが、イメージとのギャップを大きくしないためには、実際の看護学科の学びや現場の仕事を知っておく必要があります。イベントなどの機会を利用して、現実的な話をしっかりとお伝えできればと思っています。

先生への質問

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医療系・文系・理系と幅広い分野の10学部32学科を擁する総合大学です。医学部・薬学部・医療技術学部を擁する板橋キャンパスの最大の特長は、医学部附属病院が隣接している点。学生は救命救急センターやERなど最先端の医療を、実習を通し体感できる場ともなっています。都心へのアクセスも良好であり、キャンパス最寄りの十条駅から池袋駅へ7分程度で行けますので、ショッピングなども気軽に楽しめます。