運動する人々を増やし、健康な地域をつくるために必要なこと

地域の健康を促進
健康促進や生活習慣病予防、介護予防に運動が有効なことは、今なら誰もが知っています。関心がある人は運動への意識が高く、運動習慣がついているでしょう。しかし地域には、高齢者も若い人も含め、少なからず「わかっているけど、運動していない」という人たちがいます。そんな人たちが運動するようになれば、健康な人が増えて、医療費の削減にもつながります。
今、地域社会で健康的な行動が自然にできる環境を整える地域づくりが注目されています。この取り組みを「ゼロ次予防」といいます。
実践・評価・検証が重要
運動習慣の基本は、歩くことです。統計では、成人の運動量の50~60%は、通勤・通学に頼っていることがわかります。また、地域でも運動格差があります。地方は車での移動が多く、都市部は電車移動が多くなっています。都市部の人は駅まで歩くため、地方よりも運動量が多いのです。
運動する人を増やすには、地域の特性やターゲットの年齢層にあわせた戦略を立てることが必要です。マーケティングの手法を使い、戦略に基づいたきっかけづくりを展開します。それを実践して終わりではなく、その結果をきちんと評価・判断して、次の策を考えることが重要です。その繰り返しが、人々の行動の変化を引き起こします。
工夫して地域を動かす
例えば、新聞などのメディアやSNSを活用する、インフルエンサーの協力を得る、ポイントや商品券を提供するといったことを行っている地域があります。厚生労働省が推奨する「+10(プラステン)」もよく活用されます。これは「今より1日10分多く体を動かそう」という活動です。一駅歩く、庭仕事をするといった具体的な行動を提示できます。ある地域では、「災害時の避難は体力が必要」と訴えました。防災や減災と関連させると関心が高まることもわかりました。
多くの人を動かすのは難しいことです。しかし地域のゼロ次予防が成功すれば、いずれ全国に広がります。日本の未来の健康を支えることになるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
