蝶型・飛翔ロボットの応用分野を探る

蝶型・飛翔ロボットの応用分野を探る

災害救助、橋梁検査などに期待される飛翔ロボット

蝶型の飛翔ロボットの研究開発が行われています。蝶のように羽ばたいて空を飛ぶロボットです。危険で人間が行けない災害現場や橋など人がチェックしにくい場所に飛ばし、カメラで状況を観察したりセンサーで状況把握をすることを目標としています。例えば、地震などの災害で倒壊した家屋に近づき、二酸化炭素を検知することで生きている人を探し出し、ピンポイントでの救助をアシストします。海外では、軍事目的に使用される場合もあります。
すでにさまざまな形状の蝶型ロボットが開発されていますが、日本で開発されている蝶型ロボットは、ほとんど蝶そのものの形状をしています。2枚羽で尾翼がないのが特徴です。海外では、飛行を安定させるために、4枚羽であったり、尾翼がついているものもあります。蝶の形でありながら安定している点で、日本は一歩先を行っていると言えます。

機動性のよさと操作性がほかにない特色

ところで、なぜ蝶型のロボットを開発しているのでしょうか。すでに遠隔操作できる飛行機やヘリコプターは実用化されています。蝶型ロボットがこれらと違うのは、機動性がよく、操作しやすいことです。急な方向転換が可能で、ヘリコプターのような大きな羽根をもたないので狭い場所でも小回りが利きます。例えば、家屋に窓から進入し、煙突の穴を通って外に出るという複雑な動きも可能と考えられています。これは、災害現場の観察には最適です。これは日本では関係ありませんが、軍事目的の場合、相手に悟られないために、蝶に似ているという点が重要になります。
現在日本で開発されている蝶型ロボットは、重さが1.9g、小さなモーターを動力にして、直進したり旋回したり、上昇したりといった基本的な飛行には成功しています。今後は遠隔操作ができるようにし、カメラやセンサーを搭載し、実用化をめざします。また、通信機能を持たせることで、複数の蝶型ロボットで一つの目的を協力して達成するというテーマにも挑戦する予定です。

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九州工業大学 情報工学部 知的システム工学科 教授 渕脇 正樹 先生

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メッセージ

私がふだん学生に言っていることは、何でも一生懸命にやりなさいということです。一生懸命やれば、そこから何かが見えてきます。もしかしたら今あなたは、物理や数学は何のために勉強するのだろうと疑問に思っているかもしれません。しかし、大学に行ってロボットの研究をしてみると、物理や数学がいかに大切かが分かってきます。私も学生時代は、まじめな学生ではありませんでしたが、研究をやり始めてそのことに気づきました。何事にも一生懸命に取り組んでください。

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「情報工学」は、高度情報化社会の進展の中で、ますます必須知識・技術となっています。
九州工業大学情報工学部は1986年に創設された日本初、現在も国立大学で唯一の情報工学部です。知能情報工学科、情報・通信工学科、知的システム工学科、物理情報工学科、生命化学情報工学科の5学科があり、それぞれの分野において、高度な専門技術を身につけた人材を養成します。これまでに1万人を超える情報通信技術者を生みだし、様々な分野で日本の情報通信革命を支えています。