スキーヤーの動きを解明する! センサを用いた計測方法
アスリートの動きの計測方法
スポーツの科学的な指導方法の確立や、より記録を伸ばす方法の解明のために、さまざまな競技で選手の動きの解析が進められています。動きの主な計測方法は3種類あります。動きを撮影した映像を解析する方法、CGアニメーションの作成などに用いられるモーションキャプチャという方法、そしてセンサを使う方法です。モーションキャプチャは高額な機材が必要で、計測範囲も限定されるため、高速に移動する動きには適さないという問題があります。そこで、スキーをはじめとするウインタースポーツでは、比較的安価で持ち運びのしやすい小型の「慣性センサ」や「力センサ」などを利用した計測方法が研究されています。
慣性センサの出力を解析する
慣性センサにはジャイロセンサと加速度センサが入っており、加速度と角速度が測れます。スキーヤーの身体部位とスキーブーツに慣性センサを装着し、ターンなどの動きのデータを取得します。ここで得られる加速度の値は、重力加速度、遠心加速度などの複数が足し合わさったものです。そのままでは各加速度がどうなっているのかがわからないため、値を分解して、各加速度の影響を調べるための解析方法を構築することが求められています。他にも滑走フォームを解析するために必要な姿勢情報を、慣性センサを用いて推定するための方法が構築されています。
力センサで体にかかる負荷を計測
また、力センサを用いることでスキーヤーの体にかかる負荷を計測することができます。どのような滑り方が体のどこにどんな負荷をかけるのかを解析することで、できるだけ選手の体に負荷がかからない、故障を避ける滑り方の解明につながります。他のウインタースポーツの動きも慣性センサや力センサを用いた研究がなされています。センサを用いた計測方法・技術は応用範囲が広く、スポーツだけでなく産業界のニーズも高いため、今後の発展が期待されています。
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先生情報 / 大学情報
久留米工業大学 工学部 機械システム工学科 講師 近藤 亜希子 先生
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