タンパク質(プロテイン)と光
タンパク質は生命の源であり個性の源
私たちの体の設計図である遺伝情報はDNAの中に入っていますが、実際に働いているのはタンパク質です。私たちの体重の7割は水ですが、残る重量の6割はタンパク質から出来ています。タンパク質は生命機能のすべてを実際に演じている役者であり、私たちの個性や性格はタンパク質のはたらきの違いによると言えるかもしれません。つまり生物を理解するためにはタンパク質を理解しなければなりません。一言でタンパク質と言っても非常に複雑で、ナノ(10⁻⁹)メートルサイズにおいてさまざまな形をしています。「さまざまな形」と書きましたが、可視光線は波長が500ナノメートル程度なので、光の波長より小さなタンパク質はふつうの顕微鏡を使って見ることができないのです。したがって、タンパク質の形や形の変化をとらえるためのさまざまな努力が研究の現場で行われています。タンパク質にはさまざまな種類がありますので、研究にあたってはどういうタンパク質を、どんな手法で研究するかが非常に重要になります。
バクテリアは赤ちょうちんがすき?
地球上の生命は、光を「情報の源」として使っているか、「エネルギーの源」として使っています。「情報の源」とは、目などを使ってどこに何があるかを検知する視覚のことです。光を検知できるバクテリアは、赤い光が好きで、赤い光の下によく集まり、青い光は嫌いです。その理由は、光の波長にあります。赤い光は波長が長く、さらに波長が長い方には熱になる赤外線があります。一方、波長の短い青い光の先には紫外線があります。紫外線はDNAに重大な損傷をもたらす可能性があるので、バクテリアは青い光を避けているのです。もう一方の「エネルギーの源」は、光合成です。光が葉緑素にあたることで電子の移動が始まり、水素イオンの一方向への輸送が起こりますが、この水素イオンの流れを利用して「生体のエネルギー通貨」と呼ばれる、ATP(アデノシン三リン酸)を合成しているのです。
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