尾張ナゴヤの冠婚葬祭 ~仏壇とまんじゅうは同じ!?~

尾張ナゴヤの冠婚葬祭 ~仏壇とまんじゅうは同じ!?~

名古屋の仏壇はなぜ金ピカなのか?

“名古屋仏壇”を見たことがありますか? 木曽のひのきやけやきなど最高の素材、天然の漆塗り、繊細かつ精巧な絵と彫刻、そして一面に純金の箔押しがされている豪華な仏壇です。
1700年代、8代将軍徳川吉宗の治世は、折からの不景気で質素倹約が徹底されていました。そんな時、尾張藩主であった徳川宗春は、豪華絢爛(けんらん)な世をめざして庶民に税金を振りまき、経済の活性化を図りました。「不景気だからこそ、技や芸事を磨いたり商いを盛んにしたりすれば、人の心も世の中も平和になる」と、芸小屋や全国最大級の遊郭を建築する命を出しました。そして、全国各地から宮大工・漆職人・金箔職人・彫り師などが尾張藩に大勢集まり腕を競い合いました。その職人たちの技が一つに集結したものが“名古屋仏壇”なのです。

名古屋の結婚式には日本一巨大なまんじゅうが!?

芸小屋や遊郭の発達により、尾張には“和菓子”の文化も誕生しました。「お茶処(どころ)」などもでき、全国から菓子職人が集まるようになっていました。和菓子製造の技術には「蒸し」、「練り」、「細工」、「色あい」など、地方により特色がありますが、尾張では「蒸し」の技術が特に優れていました。
名古屋地方の結婚式では、“蓬莱山(ほうらいさん)”と呼ばれる日本一大きな和菓子が出されます。これは高さ約50cmの大きな上用(じょうよう)まんじゅうの中に、結婚式に出席した人と同じ数の小さな上用饅頭を詰め込んで蒸し上げたものです。通常これだけ大きいと、中のまんじゅうに火が通るまでに外側が割れてしまうのですが、蒸気を入れたり抜いたりしながら、気候や天候などの条件も考慮して仕上げていくのです。
一見、つながりのないような“仏壇”と“和菓子”ですが、地域の風習や歴史に着目すると、どちらも職人が技術を高めながら現代に受け継がれてきた「ものづくり」の伝統であるということがわかるのです。

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名古屋工業大学 工学部 社会工学科 建築・デザイン分野 教授 北川 啓介 先生

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建築学系/家政学系

メッセージ

ある地域のある学問でしかできないことが、世界に発信されていくことが実はあります。進路を決める際には、先に学部名を見て選ぶことをせず、“今一番興味を持っていること”や、“ほかの人より得意なこと”を一度真剣に考え、「どの街のどの文化が自分に合っているか」ということを意識して自分なりに答えを出してみましょう。答えはあるかもしれないし、ないかもしれません。しかし、自分の中で一度ひらめいて答えにたどり着いた瞬間のことは、その後も自分の骨格となっていくのは間違いありません。

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