ナノテクノロジーで省資源
ナノテクノロジーが期待される理由
21世紀の人類の課題として、「環境」、「エネルギー」といった問題は重要です。もちろん自然環境保護は重要で、エネルギー枯渇も大問題ですが、今から生活水準を江戸時代に戻して、車も電気もない社会に戻すことは不可能です。社会が豊かになるためには、「経済発展」もしていかなければなりません。これを一般的に“三すくみの問題”と言っています。日本が経済発展するには、科学技術を発展させていくしかないのです。もし、ほんの少しの材料だけで、十分な機能を発揮してくれるような物があれば、資源の乏しい日本でも産業として成立します。そこで、「ナノメートルという小さなサイズで機能を果たす材料を作製すれば、三すくみの問題解決に貢献してくれるのではないか?」というのがナノテクノロジーに寄せられる期待の一つです。米国では2000年にクリントン大統領の一般教書演説で「アメリカは、これからITと環境とナノテクに注力し、ナノテクには多額の予算を投入する」と表明しました。その後、先進国で相次いでナノテクを重視する政策が打ち出され、日本でも、同年7月に「ナノテクが創る未来社会(n Plan-21) 」が打ち出され、本格的にナノテク開発競争の火ぶたが切って落とされました。
ナノはどれだけ小さいのか?
mmは「蚊」の世界です。10⁻⁶、μm(マイクロメートル)はウイルスの世界です。そして10ー⁹nm(ナノメートル)の世界で、DNAの横幅がおおむねナノの世界になります。また、人間の目に見える可視光線の波長は380~750nmという範囲ですから、光学顕微鏡がいくら高性能になっても、見えない大きさです。比率で考えてみると、地球の直径は赤道付近で12,756.3 kmですが、この-9乗は直径1.3cmのビー玉くらいの大きさになってしまうのです。このような大きさを扱うのがナノテクノロジーの世界なのです。
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