「空気を読む」ことと「特別支援教育」
「空気」ってなに?!
あるクラスメイトの会話です。Aさん「髪切りすぎて失敗した」Bさん「そんなことないよ」Cさん「短いのも似合う」Dさん「確かに失敗だね、変」。Dさんの発言に場が凍り付く……似たような場面、経験ありませんか?
周りへの同調が期待されたり、言葉の裏の意味を推測することを求められたり、コミュニケーションには見えないルールがたくさんあります。失敗すると、「空気が読めない」と責められ、人間関係のトラブルになることもあります。読むべき「空気」とは一体何なのでしょう?
「空気を読む」ことと「特別支援教育」
人は他者と接する時、相手の表情や視線、声、仕草、シチュエーションなど様々なことから情報を得ます。大多数の人は成長の過程で自然に身につけますが、個人差もあります。もともと人の表情や視線に注目しにくかったり、他の刺激のほうに注目しやすかったりする特性のある子は、空気の読み方や暗黙のルールを身に付けるプロセスが、多数派とは異なることがあります。情報の選択や理解にかかわるプロセスの特異性は、人間関係に限らず、学習の場面でもあります。それを「当たり前のことができない」とするのではなく、そもそも場面や課題がどのような構成や要因で成り立つのかをとらえ、その子にとって情報の選択や理解がしやすいように整理する。そうやって、子どもが本来の力を発揮しやすい状況を整え成長を支えるのが、特別支援教育です。
「障害」をとおして「自分」と向き合う
特別支援教育というと、「障害」のある子への個別支援という印象かもしれません。しかし、「空気を読むことが苦手」は、障害でしょうか? 「忘れっぽい」「おしゃべり」「整理が苦手」は? 障害とは何かを考えることは、自分がどう他者を理解しているかや、自分と他者の関係を考えることにつながります。障害や特性に境目はなくグラデーションのように広がる濃淡のどこかに自分も存在します。障害がある・ない、支援する・されるという枠を取り払ってみることが、この学問への入口となるでしょう。
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