キウイフルーツなのに、イチゴみたいに皮ごとパクパク食べられる!

キウイフルーツなのに、イチゴみたいに皮ごとパクパク食べられる!

中国生まれニュージーランド育ち。日本に兄弟も

キウイフルーツは、ニュージーランド原産のイメージがあるのではないでしょうか。しかし、本当は中国原産の「シナサルナシ」をニュージーランドに持ち込んで品種改良した果物なのです。姿が鳥のキウイによく似ていることから、キウイフルーツとネーミングされました。
サルナシは、日本の各地にも自生していています。例えば、徳島の祖谷(いや)のかずら橋に使われているツルも、このサルナシの一種。猫が大好きなマタタビも仲間です。
実は、キウイフルーツには「低温要求量」という、冬に落葉する植物に共通の特性があり、一定の寒さに遭わないと芽が出ないので、常に温暖な地域では、栽培ができません。
一方、日本各地に自生しているサルナシを調査すると、ビタミンCの多いものや、甘いもの、渋いもの、昔から長寿の果物として食べられていたものなど、さまざまな特徴の品種があることがわかりました。そして、その中には、低温にあわなくても発芽できるものがあることもわかりました。

皮ごと食べられる健康フルーツ、キウイベリー

そこで、この低温要求量の少ないものや、味や形など、さまざまな特色を持ったサルナシとキウイフルーツを交配させ、新しい果物を開発するプロジェクトが始まりました。
イチゴのように、皮をむかずに丸ごとパクリと食べられ、甘くて、ビタミン豊富。そんな夢のようなフルーツが「キウイベリー」です。温暖なところでも発芽するため、亜熱帯など温暖な地域でも栽培ができるようになります。
さまざまな交配の組み合わせによって生まれたたくさんのキウイベリー候補たち。それらの食味や成分をチェックし、選りすぐりの系統がつきとめられていきます。
そうして生まれたキウイベリーを使ったスイーツが、人気パティシエによりアレンジされ、あなたをとりこにする日もそんなに遠くない未来かもしれません。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

香川大学 農学部 応用生物科学科 教授 片岡 郁雄 先生

香川大学 農学部 応用生物科学科 教授 片岡 郁雄 先生

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農学系/園芸系

メッセージ

「見て楽しみ、食べて味わえ、健康になれる」、果物には魅力がいっぱいです。果物の品種改良は,野山に自生する野生種や栽培品種の特性を把握し、交配して果実を収穫。さらに種を採取して植物を育て,その実の成分や食味をデータ化し、よりすぐりのものを絞り込んでいく。新品種の開発には、年月がかかりますが、個性的な品種が得られた時の喜びは感動的です。暖かい地域でも栽培できるサクランボや甘いキウイベリーなど新しい果物を作り出す研究にきっと魅力を感じてもらえると思います。

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